この分析機器ニュースのまとめ

・島津製作所がトリプル四重極型ガスクロマトグラフ質量分析計「GCMS-TQ RXシリーズ」を発売
・残留農薬、PFAS、ダイオキシンなどの有害物質分析に対応し、従来比最大25%の感度向上を実現
・AI波形処理機能や自動メソッド作成機能により、分析ラボの生産性向上とDXを支援

トリプル四重極型GC-MS/MSの新シリーズ

島津製作所は7月8日、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)「GCMS-TQ8040 RX」および「GCMS-TQ8050 RX」を発売した。両製品は、トリプル四重極(TQ)型のガスクロマトグラフ質量分析計で、同社が3月17日に発売したガスクロマトグラフ(GC)「Nexis GC-2060」と組み合わせて使用する。試料導入、分離、検出、データ解析までの一連の工程を担い、残留農薬やPFAS、ダイオキシンなどの有害物質分析、医薬品の原薬分析、環境分析、食品安全分析など、幅広い用途に対応する。

  • 「GCMS-TQ8040 RX」

    ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)「GCMS-TQ8040 RX」の外観 (提供:島津製作所)

  • 「GCMS-TQ8050 RX」

    ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)「GCMS-TQ8050 RX」の外観 (提供:島津製作所)

ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)は、試料中の揮発性成分を分離し、イオン化した成分ごとの質量を測定することで、成分の同定や定量を行う分析装置。大気、水質、土壌などの環境分析、食品安全、化学製品や材料の品質管理など、社会の安心・安全を支えるさまざまな分野で利用されている。

近年は、各国・地域での規制強化や品質要求の高度化、人手不足を背景に、多成分を迅速かつ高精度に分析するニーズが高まっている。加えて、分析作業の自動化、データ解析の効率化、ラボ全体の生産性向上も重要な課題となっている。

残留農薬やPFAS、ダイオキシンなどに対応

「GCMS-TQ RXシリーズ」は、マルチモード注入ユニット(MMI)と独自のイオン源を搭載することで、多様な分析ニーズに対応する柔軟性を備えた点を特徴とする。

MMIにより、複数の試料導入法に対応でき、規格やガイドラインに準拠した分析が可能となる。通常は専用機が必要となる加熱脱着法にも対応しており、食品中の残留農薬分析、香気分析、環境分析など、目的に応じた条件設定を行うことができる。

また、独自の断熱技術により、高い温度安定性と高速昇温性能を両立した。熱分解しやすい成分や極微量成分についても、信頼性の高い分析を可能にするという。さらに、冷却時間も短縮しており、メンテナンス時の待ち時間を従来の40分から5分へ短縮することで、分析効率を高めたとする。

加えて、シングルGC-MSとしての性能も備えているため、原因物質の特定から定量評価までを1台で幅広く対応できるとしている。

従来比最大25%の感度向上

検出性能については、フェムトグラムレベルの極微量成分検出に対応し、従来比で最大25%の感度向上を実現したとしている。

さらに上位機種となる「GCMS-TQ8050 RX」には、最新のノイズ除去技術と高増幅性能を備えた新型検出器を搭載したことで、極微量成分を高感度に検出し、多成分一斉分析においても高い精度を発揮するという。

また、長期安定性への配慮として、安定性に優れたイオン源に加え、従来比5倍以上の寿命を持つフィラメントを備えることで、長期間にわたり安定した分析性能を維持できるとしている。

分析業務の効率化に向けては、AIを活用した波形処理機能「Peakintelligence for GCMS」と、自動メソッド作成機能「Smart MRM+」を搭載したとする。

なお希望販売価格は、いずれも税込みで、システム構成により異なるが、「GCMS-TQ8040 RX」が2854万円から、「GCMS-TQ8050 RX」が3590万円からとしている。