この半導体ニュースのまとめ

・CG Power、ルネサス、Stars Microelectronicsの合弁会社CG Semiがインド・サナンドのOSAT施設で商業生産を開始
・同施設は年産最大3億個の能力を持ち、設備導入、工程安定化、人材育成、顧客認定を経て量産フェーズへ移行
・2024年発表の760億ルピーの投資計画が本格化し、G2施設と合わせてインドの半導体後工程能力を拡大

ルネサスら3社のインドOSAT合弁が商業生産を開始

インドのCG Power and Industrial Solutions、ルネサス エレクトロニクス、タイのOSAT企業Stars Microelectronicsによる合弁会社CG Semiは、インド・グジャラート州サナンドに設置したOSAT施設「G1」において商業生産を開始した。

  • 7月4日にインド・グジャラート州サナンドで開催された式典の様子

    7月4日にインド・グジャラート州サナンドで開催された式典の様子 (出所:ルネサス公式Facebook)

CG Semiは、3社が2024年に発表したインドにおける半導体後工程・テスト拠点構想に基づく合弁会社。2024年3月時点では、インド政府の半導体スキームに基づく承認を受け、グジャラート州サナンドに半導体後工程の組立・テストを請け負うOSAT工場を構築・運営する計画が示されていた。

当時の計画では、合弁会社への出資比率はCG Powerが92.3%、ルネサスが6.8%、Stars Microelectronicsが0.9%。今後5年間で760億ルピーを投じ、QFNやQFPなどの従来型パッケージから、FC-BGAやFC-CSPといった先端パッケージまで対応することで、IoT、5G、自動車、産業機器など幅広い用途向けの半導体製品に対応するとしていた。

G1施設は年産最大3億個、G2でさらなる能力増強へ

今回、商業生産を開始したG1施設は2025年8月に開設されたもので、年産最大3億個の能力を持つ。開設後は、装置導入、工程安定化、人材育成、顧客認定、品質体制の整備を進めてきたとしており、今回の商業生産開始により、世界の顧客に向けた供給体制が整ったことになる。

CG Semiでは、中央政府および州政府の支援を受けながら、CG Power、ルネサス、Stars Microelectronicsの3社連携により、サナンドでG1とG2の2つのOSAT施設を整備する計画。G1が商業生産に入った一方、G2は開発中であり、稼働後にはCG Semi全体の生産能力を大きく引き上げることになる。

半導体産業において、後工程は前工程で製造されたチップをパッケージングし、検査したうえで最終製品として出荷できる状態にする重要工程である。先端半導体では前工程の微細化に加え、後工程、実装、検査の重要性が高まっており、インドが半導体サプライチェーンに参画するうえでも、OSAT拠点の立ち上げは重要な意味を持つ。

ルネサスは技術知見、StarsはOSAT運営ノウハウを提供

2024年の発表時点で、3社の役割分担も示されていた。CG Powerは長年の製造業の知見を生かし、インド国内の半導体製造能力向上とエコシステム構築を担う。ルネサスは先端半導体技術や製品・品質に関する知見を提供し、Stars Microelectronicsは従来型パッケージ技術、OSAT運営、トレーニング・人材育成プログラムなどを提供するとしていた。

これらを踏まえ、CG Semiでは、商業生産開始に向け、半導体組立・パッケージング・テスト分野の経験を持つ人材を集めるとともに、インド国内のエンジニア、オペレータ、技術者の育成にも投資してきたとしている。また、G1施設には、高歩留まりを実現する生産システム、工程管理、製造トレーサビリティ、信頼性評価および故障解析機能を備え、量産品質の確保を図る。

インドは現在、半導体製造の国内化を重点政策として掲げ、組立・テスト、パッケージングから設計、前工程まで含めた半導体エコシステムの構築を進めている。CG Semiの商業生産開始は、そうした取り組みが一歩前進したことを示すものとなる。

インド半導体産業の後工程基盤構築が進展

インドでは、半導体産業育成に向けて前工程や後工場の建設、ディスプレイ関連投資など複数のプロジェクトが進められている。中でも後工程関連は、前工程に比べて相対的に立ち上げ期間が短く、国内の電子機器製造や自動車、産業機器、通信機器向け需要と接続しやすい領域である。

CG Semiがサナンドで立ち上げたOSAT施設は、インドが半導体サプライチェーンの中で組立・テスト機能を獲得していくための代表的な案件となる。特に、ルネサスのようなグローバル半導体メーカーが合弁に参画している点は、顧客認定や品質保証、人材育成、量産ノウハウの移転という観点でも重要といえる。

一方で、OSAT事業は高稼働率と安定した顧客需要の確保が収益性を左右する。G1が商業生産の開始に至ったのは大きな節目と言えるが、今後はG2の立ち上げ、顧客ポートフォリオの拡大、対象パッケージの高度化、品質認定の積み上げが課題となる。

「Make in India」から半導体サプライチェーン参画へ

今回の商業生産開始は、2024年に示されたインドOSAT構想が、計画段階から実際の生産・出荷段階へ移行したことを意味する。インド政府が掲げる「Make in India for the World」のもと、国内で組み立て・検査された半導体製品を国内外の顧客に供給する体制が動き始めた形だ。

半導体サプライチェーンは、地政学リスクや需要変動、AI・自動車・産業機器向け需要の拡大を背景に、多地域化が進んでいる。インドとしては、設計人材や電子機器組立産業の蓄積に加え、OSATを入り口として半導体製造の実績を積み上げ、将来的な前工程や先端パッケージングへの展開につなげたい考えとみられる。

ルネサスにとっても、CG Semiの量産開始は、インド市場およびグローバル供給網の多様化に向けた一歩となる。CG Power、Stars Microelectronicsとの協業を通じ、インド国内に後工程・テストの製造基盤を構築することで、成長が見込まれる自動車、産業、IoT、通信向け半導体需要への対応力を高める狙いがある。