ジャパンディスプレイ(JDI)はフラットパネルディスプレイ(FPD)以外の新たな収益源としてセンサー分野に注力し、多様な新製品の開発を進めている。FPDとセンサーは技術的に共通点が多いうえ、既存工場を流用できることから立ち上げ時間も短くできるなど、相乗効果が大きい。
同社センサー部 部長の吉田公二氏が、都内で開催されたセンシングテクノロジー展「Smart Sensing 2026」(会期:6月10~12日)で次世代センサー事業について講演した。
JDIがセンサーに注力するのは、市場性と技術、それに実現性を反映したもので、データ社会の発展とともに拡大する需要を狙う。長年にわたってスマホ向けタッチセンサーなどで蓄積したノウハウがあり、既存のLCD(液晶表示装置)工場を流用できるため、利益も上げやすい。
FPDとセンサーは入出力方向が逆になるだけで、ベース技術はほぼ共通している。より大面積で高精細、かつ低コストのセンサーを求めるニーズに応えるには、シリコンウエハーよりも大きなガラス基板の方が適している。そこで同社は、G4・5サイズ基板対応の石川工場で量産することで差別化を進めていく。
センサーの機能面では点から面へとセンシングポイントのニーズが移っているが、各画素にスイッチ(薄膜トランジスタ)を配置することで対象物の全体的な構造や広範囲の圧力分布などを把握できる。ガラス基板上にポリイミドフィルムを貼り付け、パターン形成後にガラス基板から剥がせば折り曲げられるフレキシブルセンサーを作ることもできる。
いずれも従来とは一線を画した「面センシング」を訴求するものだ。いま自社開発中なのは圧力分布センサーや曲面センサーのほか、通信デバイス向けにミリ波を反射する液晶反射板や液晶フェーズドアレイアンテナなどがある。
また受託生産や共創活動ではX線イメージセンサーやIRイメージセンサー、指紋センサーのほかヘルスケア分野でも先端的な協業を発表している。
JDIは、微量の生体試料を電気的作用によって自動操作・処理する装置「BPU」(Biological Processing Unit)を開発する新興企業・米CyteSiと、微量バイオ試料処理デバイス向けバックプレーンの開発・製造で覚書(MoU)を締結した。
JDIが供給する、電圧制御によってデジタルマイクロ流体を実現するEWOD(Electro-Wetting on Dielectric)方式向けバックプレーンを、CyteSiのBPUと組み合わせて使う。JDIが得意とする薄膜トランジスタ(TFT)技術による高精度液滴制御によって、バイオ処理の革新をめざす。



