Windows Centralは6月16日(米国時間)、「Quote of the day by Bill Gates: "Content is where I expect much of the real money will be made on the Internet" - Why the web is being destroyed over this exact premise 30 years later|Windows Central」において、Microsoftの創業者であるBill Gates氏の名言が終焉を迎えつつある現状を伝えた。
Gates氏はインターネット普及期の1996年にエッセイ「CONTENT IS KING」を発表。この中でインターネット上の利益はコンテンツが源泉になると予想し、現在までの約30年間、予想どおりに市場が形成、維持されてきた。まさに先見の明に満ちた主張だったわけだが、AIの登場により状況は大きく揺らぎ始めたという。
AI検索からの脱却は困難、制作者の実情とは
インターネットが普及し始めた当時、コンテンツは文字中心で通信速度も遅く、統一的な仕組みが整っていなかった。そのような中、Gates氏は将来の収益源がコンテンツに集まると予想。実際にブログ、ニュース、動画配信、音声番組、メール配信など、多様なコンテンツが検索サイトを通じてユーザーに届く仕組みが構築され、広告収入や関連事業の拡大に寄与した。
インターネットの普及は検索中心の巨大産業を形成し、各企業はSEO対策に注力した。しかし、30年後の現在、AIの普及に伴いこの構造が急速に揺らぎはじめたとWindows Centralは指摘している。
生成AIやAI検索サービスは、Web上の膨大な情報を活用して回答や要約を提示するようになった。ユーザーは便利なAIサービスを有効活用するようになり、その結果、2024年以降の1年間でWebサイトのクリック率は44%から31%に低下した。
さらに米国では2024年から2025年にかけて、オーガニックトラフィックが5億回減少したとの推計もある。コンテンツ制作者の収益は閲覧数に依存しており、この減少は活動の継続を困難にしている。
制作者としては検索大手のAIサービスから脱却したいところだが、構造的に抜け出しにくい状況にある。コンテンツは検索上位に表示されることで閲覧者の増加につながるが、一方でAI学習を拒否すれば検索対象から完全に除外される可能性があるためだ。
コンテンツ制作者への利益還元が課題に
コンテンツの収益性低下は、コンテンツ制作の継続性に影響を与える可能性がある。この問題への対応策として、一部のメディア企業やプラットフォーム事業者の間ではライセンス契約を通じた収益還元の取り組みも進められている。
しかしWindows Centralは、こうした取り組みだけでは検索流入の減少を補うことは難しいと指摘。検索事業者がAIによる要約を提供する構造が定着すれば、コンテンツ提供者の立場はさらに厳しくなる可能性があるという。
またWindows Centralは、Gates氏が「CONTENT IS KING」の中で言及した、テレビ産業における収益構造にも注目している。テレビの普及によって利益を得たのはテレビ製造企業だけではなく、放送事業者でもあったという指摘だ。
Windows Centralは、現在のインターネットでも同様の構図が見られると説明する。コンテンツそのものを制作する企業や個人よりも、流通や配信の仕組みを握る企業に利益が集中しやすい構造が存在し、さらにAI検索の普及によってその傾向が強まる可能性があるという。
筆者は「コンテンツを提供している現実の人間は、まもなくそのサイクルから外れてしまうかもしれない」と述べ、AI時代におけるコンテンツ制作者の立場に懸念を示している。
