日本製鉄は5月26日、発明協会による令和8年度全国発明表彰において、「鋼橋・港湾設備の長寿命化に資する塗装用耐食鋼の発明」で「発明賞」を受賞したと発表した。

  • 塗装欠陥部の腐食抑制機構

    塗装欠陥部の腐食抑制機構

受賞の概要

受賞者は、上村隆之氏(元 日本製鉄 技術開発本部 鉄鋼研究所 材料信頼性研究部長)、鹿島和幸氏(日本製鉄、日鉄テクノロジー出向 知的財産事業部 西日本知的財産推進部 主幹)、幸英昭氏(元 新日鐵住金 技術開発本部 鉄鋼研究所 材料信頼性研究部)の3人。

受賞した発明は、鋼橋や港湾設備などの塗装鋼構造物の長寿命化に資する塗装用耐食鋼に関するもの。重要な社会インフラである橋梁の多くは高度成長期に建設されており、全国73万橋のうち約59%が2032年に建造後50年超となるため、老朽化対策が急務となっているという。

多くの鋼橋には塗装防食が施されているが、塩分の多い環境では塗装欠陥部から腐食劣化が進展する。

日本製鉄は、塩分を含む大気中で鋼材上に形成される薄い水膜が酸性となり腐食を促進する機構を解明。微量のSn(スズ)を添加することで鋼材の溶解そのものを著しく抑制できることを見出し、塗装用耐食鋼「CORSPACE」を開発した。

同社によると、CORSPACEは従来鋼(普通鋼)に比べて耐食性が向上しており、塩害環境での塗装塗り替え周期を従来鋼の30年から2倍の60年に延長できるという。これにより、鋼橋などの塗装鋼構造物におけるライフサイクルコストの縮減が可能になるとしている。

  • 鋼橋適用時のライフサイクルコストの例

    鋼橋適用時のライフサイクルコストの例

CORSPACEは、耐候性鋼橋梁が激しく腐食する沿岸地域や、凍結防止剤散布の影響を受ける部位など、国内外の約100橋の鋼橋に採用されているほか、港湾クレーンにも展開されている。

日本製鉄は今後もCORSPACEの普及を進め、インフラ鋼構造物の長寿命化や維持管理費削減、塗装塗替え周期延長による環境負荷軽減に貢献していくとしている。

  • CORSPACEを使用している橋梁:気仙沼湾横断橋

    CORSPACEを使用している橋梁:気仙沼湾横断橋