【 経済産業省 】エネルギー調達に苦しむアジア諸国への支援策を発表

日本政府が、アジアに対するエネルギー協力・支援をまとめた「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ」、通称「POWERR Asia(パワー・アジア)」を打ち出した。総額は約100億ドル(約1.5兆円)。米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、中東の海上輸送の要衝ホルムズ海峡が事実上封鎖され、原油やナフサなどの調達に苦しむアジア諸国に短期、中長期それぞれの支援を講じる。

 アジア諸国は、原油の多くを中東に依存している。東南アジア諸国連合(ASEAN)各国は備蓄も乏しく、フィリピンやベトナムなどが使用の抑制に動くなど、影響が深刻化していた。医療物資などをアジアに依存する日本には、経済的な打撃が波及する恐れがあった。

 パワー・アジアは、日本の呼びかけでオンライン開催された4月の「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」拡大首脳会合で示された。

 足元の物資調達やサプライチェーン(供給網)維持に力点を置いた「緊急対応」、エネルギー危機への備えを進める「構造的対応」の二つにパートが分かれており、二国間、多国間など、様々な枠組みで対応していく考えだ。

 緊急対応では国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)、日本貿易保険(NEXI)に加え、経済産業省のグローバルサウス補助金を動員。資金力に乏しいアジア諸国に金融支援を行い、価格が高騰する中でも原油を調達できるようにする。

 各国政府で生じたサプライチェーンの対応費用に対し、緊急円借款も行う。

 構造的対応では、原油備蓄・放出システムの構築、タンクなどのインフラ建設などを支援。原油への依存度を下げるため、エネルギー源の多様化も後押しし、省エネ投資・協力も進める。これに合わせ、AZEC自体も脱炭素化だけでなく、経済・エネルギーの強靱性を高める視点を加えた「AZEC2.0」にする。

 東南アジアには、中東情勢の悪化後に中国がエネルギー協力を申し出ていた。日本の迅速な支援発表は、サプライチェーンの要衝であり、成長著しい東南アジアへの中国の影響力拡大を抑える狙いもあった。

【「力の行使」による国際秩序変更が意味するもの 】マーケットコンシェルジュ代表・上野泰也