サイボウズは5月14日、従業員数1000人以上の企業において情報システム部門を管掌するIT責任者を対象に、経営戦略に対するIT戦略の位置付けに関する調査を実施した結果を公表した。
この調査は、大企業が直面する全社的な経営課題に対し、IT責任者がどのような重点テーマを設定してIT施策や投資を進めているのか、また、その進み方が経営戦略とIT戦略の関係性によってどのように異なるのかを明らかにすることを目的としている。
経営の関心は「収益性向上」「生産性向上」「コスト削減」
IT責任者に自社が抱える経営課題について尋ねたところ、「収益性の向上」(82%)、「生産性の向上」(79%)、「コスト削減の実現」(69%)が上位を占めた。利益拡大と業務効率化の両立が重要な経営テーマであることがうかがえる。
また、「人材採用と人材育成」(59%)や「グローバル対応」(54%)も過半数に達しており、大企業が多層的な課題に直面している実態も明らかになった。
こうした状況において、IT部門の取り組みは運用保守にとどまらず、経営課題の解決に直結する対応が求められる。特に、収益性・生産性・コスト改善は、AI活用や全社的なIT施策とも関わっており、経営課題の解決に向けたIT戦略の重要性が高まっている。
ITを経営戦略内に位置付ける企業が過半数
IT戦略が経営戦略の中にどのように位置付けられているかを尋ねると、IT戦略が経営戦略内に位置付けられている企業は全体の54%だった。
一方で、IT戦略が経営戦略とは個別に位置付けられている企業は38%、IT戦略そのものが明示されていない企業は8%存在だった。この結果から、経営戦略に対するIT戦略の位置付けに企業ごとの差が見られた。
IT予算の増強は「セキュリティ」「生成AI」「クラウド」
2026年度のIT予算の見通しは、2025年度との比較で「111%~125%」とする企業が31%で最も多く、次いで「106%~110%」が26%だった。大幅ではないものの、全体としては増額を見込む企業が多いようだ。
IT戦略を経営戦略内に位置付けている企業のIT予算の見通しは、「111%~125%」が43%で最も多かった。IT戦略が経営戦略と個別に位置付けられている企業や、経営戦略はあるがIT戦略が明示されていない企業では「106%~110%」が最多。IT戦略が経営戦略と個別に位置付けられている企業では「100%(前年同額)」も27%を占めた。
これらの結果から、IT戦略を経営戦略内に位置付けている企業の方が、2026年度のIT予算を積極的に増額する傾向がうかがえる。
2026年度にIT予算の増額を見込んでいる企業において増強が予想される項目は、「セキュリティ関連」と「生成AI」がともに67%と最も高く、次いで「クラウド基盤・クラウドサービス」が56%だった。
IT戦略の位置付けで企業を分けてみると、IT戦略を経営戦略内に位置付けている企業では、「セキュリティ関連」を重点投資領域としている企業が69%であるのに対し、経営戦略と個別に位置付けている企業では50%と、19ポイントの差があった。
一方、「クラウド基盤・クラウドサービス」の場合、IT戦略を経営戦略内に位置付けている企業が44%にとどまったのに対し、IT戦略が経営戦略と個別に位置付けられている企業は75%だった。
IT戦略を経営戦略でどのように位置付けているかによって、予算を配分する領域に違いがみられた。
IT戦略の位置付けによりIT施策の傾向が異なる
IT戦略の実現に向けた取り組みに関する自由記述回答の中には、IT戦略が経営戦略内に位置付けられている企業では、複数部門や複数業務をまたぐ標準化・共通化・全社展開を伴う取り組みに関する記述が見られた。また、IT施策を全社活動として捉える記述も確認された。
一方、IT戦略が経営戦略と個別に位置付けられている企業や、明示されたIT戦略がない企業では、特定の業務・機能・テーマを対象とした取り組みに関する記述が見られた。
これらの自由記述回答の比較から、IT戦略を経営戦略内に位置付けている企業ではIT施策が全社横断型として取り組まれやすい一方、IT戦略が経営戦略と個別に位置付けられている企業では、IT施策が特定の業務やテーマを対象とした取り組みとなりやすい傾向が見られた。
IT責任者の関心は「業務プロセス変革」「セキュリティ対策」「新技術」
IT責任者の関心テーマをみると、「デジタル技術・AIを活用した業務プロセスの変革」(72%)、「サイバーセキュリティ対策の強化」(69%)、「新技術(生成AI等)の探索・導入」(62%)、「経営戦略と整合したIT戦略の策定・推進」(54%)が上位に挙げられた。
加えて、IT人材・組織変革や基盤刷新に関するテーマにも一定の関心が見られたことから、人材・組織やシステム基盤の見直しにも関心が広がっていることがうかがえる。







