日立製作所は5月12日、米国のX LABSと、北米のAIデータセンター向けにGW級の電力を供給するインフラ施設「エネルギーパーク」を開発するため、戦略的パートナーシップを締結したと発表した。発電・蓄電設備やエネルギーマネジメントシステムを備えた電力供給拠点を「Energy-as-a-Service(EaaS)」として提供し、需要家の電力調達や初期投資の課題解消に貢献するという。

  • 日立とX LABS、北米AIデータセンター向け電力供給インフラ「エネルギーパーク」の開発で協業

    日立とX LABS、北米AIデータセンター向け電力供給インフラ「エネルギーパーク」の開発で協業

エネルギーパークは、電力需要家の施設内や近接地に、発電・蓄電設備、送配電システム、エネルギーマネジメントシステムを配備した電力供給拠点。地域の電力系統とも協調するよう設計・構築することで、地域系統の強化を待たずに大規模な電力調達を可能とし、産業施設の早期構築に貢献するとしている。

両社は、エネルギーパークの設計・開発・運用・電力供給までを、特別目的事業体(SPV)を通じてEaaSとして提供する。データセンター事業者が、大規模な初期投資や複雑なエネルギー運用を自社で担うことなく、事業拡大に必要な電力を安定的に確保できる環境の実現をめざす。今後はX LABSが運営するSPVが資金調達や建設用地の選定・開発、プロジェクト管理を進め、第1弾のエネルギーパークを2030年代前半に完成させる計画だ。

背景には、AIやクラウドサービスの拡大に伴うデータセンター建設計画の増加がある。米国では電力インフラの老朽化に伴い、発電設備や送配電網の更新・強化が需要に追いついておらず、データセンター事業者にとって安定的な電力調達が事業拡大のボトルネックになっているという。

日立製作所は、データセンターや工場の運営を通じて得た、需要家視点での電力調達・運用課題に関する知見に加え、日立エナジーの高電圧送配電網の設計・運用、電力品質の確保、系統安定化に関する技術と実績を活用する。送配電機器や系統連系システム、蓄電池システム(BESS)を備えたエネルギーマネジメントシステム(EMS)などの提供を通じ、エネルギーパークの安定運用と効率的な電力制御を支えるとしている。また将来的には、次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」の1つ「HMAX Energy」の導入を通じ、エネルギー運用のさらなる高度化・効率化を目指すとする。

X LABSは、SPVの設立・運営、パートナリングを通じた建設用地の確保や発電設備の調達を担う。自社が運営・管理するSPVを通じてエネルギーパークを開発・運用し、需要家に対して電力をサービスとして提供するとのことだ。

編集部メモ

3月24日に日立および日立エナジーが提供開始を発表した「HMAX Energy」は、重要なエネルギーインフラを保護しつつ運用効率の向上を支援するAIサービス・ソリューション群で、顧客のエネルギーインフラ運用に関する計画・予測・予防を支援することで、エネルギー安全保障とレジリエンス強化を実現するもの。同サービスを通じ、変圧器故障に起因する収益損失を最大60%削減、さらに早期検知によって変圧器故障を50%低減するとしている。