ソフトバンクはエリクソン・ジャパンと連携し、5G SAの上り通信を高速化・安定化させる「Uplink Tx Switching」のネットワーク対応を開始。理論上はスループットが約1.5倍に向上する見込みとしており、ソフトバンクが2026年夏以降に発売する一部のスマートフォンで順次利用可能になる予定だ。
この記事の注目ポイント
- ソフトバンクとエリクソン・ジャパンが連携、5G SAの上り通信を高速化・安定化へ
- ソフトバンクが2026年夏以降に発売する一部のスマートフォンで順次利用可能に
- 対応周波数は3.4GHz帯、3.5GHz帯、3.7GHz帯
- 今回導入した技術の正式名称は「Uplink Tx Switching」
- AI時代に重要な上り通信を高速化、スループットは理論上約1.5倍に
- キャリアアグリゲーションとMIMOの高度化で実現
Uplink Tx Switchingは、3GPP Release 16で定義された技術。複数の周波数帯の電波を同時に利用する「キャリアアグリゲーション」(CA)技術と、複数のアンテナでデータを同時に送受信することで通信速度を向上させる「MIMO」(Multiple Input Multiple Output)の高度化によって、5G SA(Standalone)の上り通信強化を実現する。対応周波数は3.4GHz帯、3.5GHz帯、3.7GHz帯。
無線通信には、同じ周波数帯の電波を利用して、上りと下りを時間で切り替える「TDD」(Time Division Duplex)と、上りと下りで異なる周波数帯の電波を利用する「FDD」(Frequency Division Duplex)という方式がある。
これまで、TDD方式で利用する周波数帯の電波で上り通信を行うときは、FDD方式で利用する周波数帯の電波とCAを行うことで、通信を高速化していた。
Uplink Tx Switchingでは、TDD方式の上り通信時に、FDD方式の通信を一時的に停止し、帯域の広いTDD方式で複数本のアンテナを用いたMIMO通信を行うことで、上り通信の高速化を実現する。
ソフトバンクはこれにより、「理論上は上り通信のスループットが約1.5倍に向上する見込み」で、動画や画像のアップロード時の体感速度が向上すると説明している。この理論値は、n1とn77のふたつの周波数帯の電波を同時に利用して上り通信を行う構成で同社が検証したものだという。
“AI時代”における上り通信のさらなるトラフィック増加を見据え、ソフトバンクとエリクソンは2024年からスマホのチップセットベンダーと連携し、「Uplink Tx Switching」の導入に向けた取り組みを進めてきた。チップセットの開発段階から共同で性能検証を実施し、今回ソフトバンクのネットワークへの導入を実現した。
ソフトバンクは今後、Uplink Tx Switchingの対応機種と対応エリアの拡大を進める方針。また、エリクソンと協力して、3GPP Release 17で定義された「FDD方式で利用する周波数帯の電波」を含めたMIMOへの対応も視野に入れ、上り通信のさらなる性能向上をめざす。
