
新たな賑わい拠点が誕生
「球団取得が第一幕だとすれば、スタジアム運営会社の取得が第二幕、そして、今日が第三幕の始まりとなる。球団運営、スタジアム運営から、街づくりに一歩踏み出した記念の日を心から嬉しく思う」
こう語るのは、ディー・エヌ・エー(DeNA)会長の南場智子氏。
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3月19日、横浜スタジアムの隣接地でJR関内駅(横浜市)の目の前に、新たな大規模複合施設『BASEGATE横浜関内』がグランドオープンした。地上33階建てで、延べ床面積は約13万平米。ホテルや商業施設、オフィスが一体となった新たな賑わい拠点の誕生である。
同施設は三井不動産を代表企業とし、鹿島建設や京浜急行電鉄、東急、星野リゾートなど、民間企業8社がコンソーシアムを組んで開発。DeNAもそのうちの1社で、日本最大級の常設型ライブビューイングアリーナ『THE LIVE Supported by 大和地所』などを運営する。
ここはDeNAグループ直営のエンターテインメント施設で、中央には幅約18㍍、高さ約8㍍の大型ビジョンを設置。迫力ある巨大スクリーンで、横浜DeNAベイスターズの試合をはじめ、野球など様々なスポーツや音楽ライブなどを中継。集まったファンが一堂に熱狂できる場を提供する予定だ。
南場氏も「世界最高のライブハウスができたと考えている。これだけの大きさのビジョン、関内という町への溶け込みも含めて、本当に誇らしいものができたと思っている」と、手応えを感じているようだ。

ディー・エヌ・エー・南場智子会長
DeNAは1999年の会社設立以来、インターネットやAI(人工知能)など、最新技術を駆使した様々なサービスを生み出してきた。
では、なぜ今、そんな会社が街づくりに参画するのか?
同社と横浜の関係、スポーツの関係は2011年から始まった。同年末、プロ野球球団「横浜ベイスターズ」の経営権を取得してスポーツ事業へ参入を果たすと、16年には横浜スタジアムの運営会社を買収し、球団と球場の一体経営を実現した。
球場使用料の負担を減らし、これまでなかなかできなかった自主企画のイベントを自由に行えるようにして、徐々に赤字体質から脱却。これが転機となり、球団単体での業績も黒字化に転換することができた。
買収前の横浜ベイスターズはお世辞にも人気球団とは言えない状態。まずはスタジアムの女性用トイレをきれいにすることからはじめ、試合の結果に満足できなかったら返金とか、ホテルのスイートルームに宿泊できる100万円のチケットなど、様々な施策をこらして、これまで球場に来たことのない新たなファン層の獲得を目指した。
こうした施策の結果、徐々に観客動員数は増加。買収前の2011年に110万人だった観客動員は昨年、236万人となり、全試合満員となった。
「当社はインターネットでサービスを提供している会社なので、喜んでくださっているお客様の顔が見えない。それが、スタジアムへ足を運ぶと、ファンの方が立ち上がってハイタッチをしたり、抱き合って喜んでくれている。人を喜ばせることは、こんなにも幸せなことなんだなと感じさせてくれた」(南場氏)
ただ、横浜スタジアムの熱狂をつくってきたことに手応えを感じていた南場氏だが、徐々に考えるようになったのが「その賑わいや熱狂を町全体へ広げたい」ということ。具体的には、プロ野球のホーム主催ゲームは年間70日しかないため、野球の試合の無い約290日の町の活性化に、どのように同社が関わっていくかということだった。
それだけに今回の『THE LIVE』の開業によって、ビジターの試合中継も流せるし、野球の試合の無い日もいろいろな人が集まって盛り上がることができる。スタジアムに来るという目的以外の新しい体験をここから提供したいということである。