NECは11月27日、光通信衛星コンステレーションの構築に向け、宇宙と地上の通信を低遅延・高信頼にし、大容量のデータを安定的かつスムーズに送受信することを可能にするために不可欠なネットワーク制御技術を開発したことを発表した。

  • 光通信衛星コンステレーションのイメージ

    光通信衛星コンステレーションのイメージ(出所:NEC)

速度・精度が要求される光衛星通信活用を可能に

次世代通信技術として注目が集まるBeyond5G/6Gでは、地上だけでなく、空や宇宙空間も活用した非地上系ネットワーク(NTN)への期待が高まっている。すでに人工衛星を活用したモバイル通信サービスも開始されてはいるものの、従来の衛星通信システムは主に山間部や島しょ部、海上など地上ネットワークが未整備なエリアでのインターネット接続手段とされ、通信速度や安定性はその時々の状況に左右されるという“ベストエフォート型”のサービスが多くを占めていた。

しかしNECによれば、今後は災害時の状況把握や自動運転、遠隔での精密作業を要する無人検査など、ミッションクリティカルな用途でも宇宙を介したネットワークを使用したいというニーズが増大しているとのこと。また最近では、地上からの距離が近い低軌道(LEO)衛星を用いた高速通信サービスが期待されているものの、現在は通信中に瞬断が生じ、再接続にも時間を要するなど、その通信品質には改良の余地を残している。

そこで同社はこうした課題を解決し、6G時代に求められる超高速・大容量通信を実現するため、光通信による宇宙ネットワーク構築に不可欠な通信品質を保証するネットワーク制御技術の開発に着手。そして、LEO衛星コンステレーションに最適な経路制御技術を実現し、データ転送遅延を半減させたという。

複数の衛星が連なった軌道を複数持ち、衛星間を光通信で相互接続するLEO衛星コンステレーションでは、地上局と衛星、あるいは衛星同士の距離が常に変動するため、データを最速で地上に届けるための通信経路探索と制御が難しく、通信の遅延が大きく変動するという課題があった。そこでNECは今回、衛星の移動による距離(遅延)の変動を計算可能なモデルを構築し、最適な経路探索と制御を実現。これによりデータが最速で届く通信経路の選択が容易になる上、同モデルは少ない計算量での処理が可能なため、衛星と地上局が瞬時に早い通信経路を選択することが可能となり、データ転送遅延を従来比で半減できたとしている。

またLEO衛星を使った通信では、地上局から接続できる衛星が次々入れ替わるため、通信経路の切り替え(ハンドオーバー)が頻発する。その際には通信品質保持のため、複数経路を用いた通信が有効だというが、ハンドオーバーの際にデータの一部が損傷するリスクや、複数経路から送信されたデータがばらばらの順番で到着することで通信遅延が変動するという課題も残されていた。そこで今回は先述の新モデルを利用し、データが届くまでの時間や経路が途切れるタイミングを予測して、それに合わせデータを送る仕組みを開発したとのこと。これにより遅延変動が従来の30分の1にまで抑制できるとした。

現在、宇宙戦略基金の支援を受けて光通信衛星コンステレーションの中核技術開発を進めるNECは、今後も民間事業を含む宇宙利用がますます拡大することが予想されるとする。そして同社は、宇宙ネットワーク構築に必要な技術をフルラインナップする特徴尾を活かし、50年以上にわたる宇宙事業の実績に加え、地上モバイルの情報通信技術や、光空間通信・海底ケーブルなどの長距離光通信の知見を活かして、宇宙ネットワーク構築による新たな社会価値創出に貢献するとしている。