三菱重工グループの三菱重工サーマルシステムズは、新開発の排熱回収温水ヒートポンプ「ETI-W」を日本国内向けに発売。工場の生産過程で発生する余剰な熱を熱源水として有効活用するもので、高効率と環境性能の両立も追求している。

  • 排熱回収温水ヒートポンプ「ETI-W」

    排熱回収温水ヒートポンプ「ETI-W」

ETI-Wは最大640kWの加熱能力を備え、温水供給温度は最高90度。従来ボイラーで対応している高温度域用途での利用が可能となり、電子機器や自動車、食品、化学、医薬品工場などのプロセス用途に加えて、商業施設や宿泊施設の暖房や給湯など、幅広い用途での活用が期待されるとのこと。

三菱重工サーマルシステムズのターボ冷凍機で実績のある遠心式圧縮機を採用し、冷媒特性や高圧縮比にあわせた最適設計とした。90度の温水を供給する場合の加熱時COP(Coefficient Of Performance)は4.01と、省エネ性の高さを追求。

また、最大640kWという1tボイラー相当の産業用途に適した大容量に対応しながら、機器本体に搭載したインバータ起動盤や、従来のターボ冷凍機「ETI-Z」シリーズと同様の「シェル&チューブ」(円筒状の胴体に多数の円管を配置し、胴体(シェル)側と円管(チューブ)の流体間で熱交換を行う方式)の熱交換器を採用。高い性能とコンパクトなサイズを実現したという。

環境面でも、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)を1とし、オゾン層を破壊せず環境負荷が低いノンフロン扱いの「HFO-1233zd(E)」冷媒を採用することで、高効率と環境性能を両立させている。

同社では新製品のETI-Wのほか、既存のヒートポンプ型ターボ冷凍機「ETI-Zシリーズ」(温水供給温度:最高45度)や「JHT-Yシリーズ」(同最高50度)をそろえ、顧客の多様な温水ニーズにあわせた選択肢を用意。幅広い温水供給温度域で小容量から大容量まで、産業用・業務用のヒートポンプ機器のラインアップを強化し、顧客の省エネ・CO2排出量削減に寄与していく。