富士通と米ARYAは10月8日、「Fujitsu Uvance」のオファリング「Smart Space」を通じて提供する映像解析AIと、ARYAのリアルタイムなデータ可視化およびメッセージ共有を実現する地理空間AIを組み合わせたソリューションを、共同で開発および展開するための戦略的提携に9月22日に合意したことを発表した。
このソリューションは公共機関および民間施設で、防犯カメラ映像を通じて犯罪や危険行為につながる不審行動をリアルタイムで検知し、アラート通知やインシデントの未然防止、セキュリティレベルの向上を支援する。
戦略的提携の背景
近年は都市化の進展などに伴い、公共機関および民間施設における犯罪やトラブル、迷惑行為などのインシデント発生件数は年々増加傾向にあり、セキュリティの重要性が高まっている。
監視カメラやセンサーなどのデバイスから生成されるデータ量が増加している一方で、情報セキュリティ担当者や施設警備員などのセキュリティスタッフは人員の減少や高齢化が進んでいる。
そのため、限られた人員で膨大な量の映像やデータをすべて監視し、潜在的な脅威に先行して対応するのは困難とされる。富士通とARYAは効率的かつ高精度なセキュリティシステムを提供することで、こうした課題の解決を目指す。
ソリューションの特長と概要
両社が手掛けるソリューションは、富士通の映像解析AIを用いており、100種類以上の基本行動データを組み合わせることで、大量の学習データを必要とせず既に設置されている防犯カメラの映像から徘徊や立ち止まりなど不審な行動を検知可能。また、特定した人物を複数のカメラ映像をまたいで自動で追跡し、監視エリア全体における行動を一貫して把握できる特長を持つ。
さらに、ARYAの地理空間AIにより、不審な行動が検知されるとその位置情報が地図上に表示されて通知される。これにより、広い監視エリアの状況を直感的に把握できるようになり、公共機関や民間のセキュリティ関係者がリアルタイムで情報を共有できる。
両社今回の契約に先駆けて、米国で大型ホテルリゾートを経営するWynn Resorts向けに実施している実証実験では、不審行動を正確に検知し、迅速に通知することが確認されているという。