京セラがスイスのiPrintとの協業を開始

京セラは10月7日、同社の欧州事業の中核子会社KYOCERA Europe(KEG)が、スイスのインクジェット技術に特化した公的研究機関「iPrint研究所」と協業を開始したことを発表した

この協業は、京セラの独自のインクジェット技術を生かし、3D印刷、塗装、プリンテッド・エレクトロニクスなど新規用途展開を模索することを目的としたもの。インクジェット方式を含むデジタル印刷は、画像データに基づき必要な数量を即座に印刷できる手軽さや、版が不要なため、版洗浄の廃液が発生せず、環境負荷が低減されるという利点があり、さまざまな分野で従来のアナログ印刷からの置き換えが進みつつあり、京セラではインクジェットプリントヘッド「EXシリーズ」を中核として、捺染や商業印刷などのデジタル印刷分野での事業成長を図ってきた

iPrint内に京セラ専用スペースを設置

一方のiPrintは、スイスに拠点を置く西スイス応用科学芸術大学(HES-SO)のHEIA Fribourg校に所属するインクジェットに特化した公的研究機関で、世界各地から技術者や企業が集い、グラフィック印刷やエレクトロニクス、バイオメディカルなど多様な分野における応用研究、最先端インクジェット技術の研究開発などが実施されてきた。

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    iPrintの拠点が設置されているMarly Innovation Center (出所:京セラ)

また、インクジェット技術に関する最先端の研究開発活動のほか、トレーニングコースも提供されるなど、さまざまなインクを取り扱うことができる環境が整備されており、今回の協業でもそうしたiPrint内にKEGとしての専用スペースが設けられ、最新設備や技術を活用することで、これまで取り扱いが困難であった特殊インクや材料などの評価を行っていくとする。

さらに、そうした評価によって得られたデータを蓄積ならびに解析を進めていくことで、技術サポートの高度化・効率化も図り、新規用途への展開に向けた積極的な活動にもつなげて行きたいと京セラでは説明しており、こうした取り組みを通じて、インクジェット技術のさらなる発展と知見の拡大を推進し、産業分野における新たな可能性を広げていきたいとしている。

なお、iPrintには先行する形でセイコーエプソンも2022年より新規アプリケーション開発を目的に拠点を設置している