【総務省】重大事案で放送免許短縮? フジTV問題で論点整理

総務省は、放送事業者のコーポレートガバナンス(企業統治)確保に向けた有識者検討会を開き、論点整理案をまとめた。元タレントの中居正広氏による性加害とフジテレビの対応を巡る一連の問題を受け、重大な不祥事が生じた事業者に対し、総務省が放送免許の期間を短縮するなど一定の条件を付ける方針を盛り込んだ。

 ただ、事業者の自主性に配慮し、番組への「介入」にならないよう慎重に制度設計する必要性にも言及した。総務省は今後議論を詰め、来年1月をめどに報告書をまとめる。 

 村上誠一郎総務相は一連のフジの問題への自身や総務省としての取り組みについて「まだまだ道半ばだ」と述べ、引き続き放送事業者のガバナンス強化に向けた対応を進める構えだ。

  村上誠一郎・総務相

 論点整理案では、フジテレビ問題がスポンサーの大量離脱を招き、経営を直撃したことを受け、事業者の経営基盤確保が重要だと強調。その上で、不祥事発生後にガバナンス改善が見られない場合、放送免許の有効期間を5年から3年に短縮する案などを例示し、行政側の関与強化を促した。これらに加えて、業界団体にも積極的な取り組みを要請した。

 この要請に関しては、日本民間放送連盟(民放連)が指針案を公表。指針の運用状況について各社に自主的な点検と年1回の公表を求める他、重大な不祥事に対応する「ガバナンス検証審議会」(仮称)の設置も盛り込んだ。民放連の早河洋会長(テレビ朝日ホールディングス会長)は「世の中の疑念を払拭するため、必要な強化策を自ら行う必要がある」と説明した。

 民放連の指針案は、人権尊重の徹底や透明性向上などを基本原則として打ち出し、各社の取締役会が、出演者との取引関係を含めた適切な事業運営に向けて業務執行を監督するよう求めた。民放全体に影響を及ぼす重大な不祥事に備え、外部弁護士やキー局代表者らによる検証審議会を設置、再発防止への助言や是正措置の指導などを行う方針も明記している。

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