
持続可能な航空燃料(SAF)を巡り、経済産業省はこのほど、ジェット燃料の供給事業者に対し、成田など国際線旅客数が多い空港で供給する燃料について2030年度からSAFの混合を義務づける案を示した。SAFは航空業界の脱炭素化の切り札として注目されており、製造施設に関する民間の投資判断を後押しして普及を促す。今後、さらに詳細を詰める。
対象となるのは成田や羽田、新千歳、中部、関西、福岡、那覇といった給油量の多い7空港。国際線を対象に、30年度に供給量の1%以上、31年度に3%以上、32~34年度に5%以上のSAFの混合を義務付ける。
また、国土交通省も30年度からSAFの調達費の一部を、国際線の利用者に負担を求める制度を設ける方向性を示した。空港が使用料に上乗せする案や、新税を求める案があり、徴収方法は今後詰める。7空港で国際線用にSAFを給油する航空会社に一定額を支援する仕組みを設け、SAFの導入を促す。
SAFは木くずや廃食油などを原料として製造される。一般的な原油由来のジェット燃料と比べ、二酸化炭素(CO2)の排出量を約8割削減できる。政府は30年に国内航空会社の燃料使用量の10%をSAFに置き換えることを目標に掲げているが、従来の燃料より価格が高いことが課題だった。国内では30年の本格的な国産SAFの供給開始を見据え、石油元売り各社が製造プラントへの投資判断を26年度中に下す見込みだ。
国際民間航空機関(ICAO)は、国際航空分野のCO2排出量を50年までに実質ゼロとする長期目標を掲げている。
SAFを巡っては、欧州連合(EU)が25年から域内の空港を出発する航空便の燃料に2%混合することを義務化。混合比率は段階的に引き上げられ、30年には6%、50年には70%にする必要がある。また、シンガポールでは調達費用を航空便の旅客から徴収する「SAF税」を導入する。