このロボット関連ニュースのまとめ

・パナソニック コネクトが複数メーカーのAMRを一元制御する新サービスの提供を9月末より開始予定
・設備や無線環境などの情報を時系列で記録し、トラブルの原因究明と早期復旧を支援
・月額7万円の基本ライセンスを設定し、中堅・中小製造業のロボット活用拡大を目指す

パナソニック コネクトは9月9日、幕張メッセで9月9日~11日にかけて開催されている業界関係者のための商談展(展示会)「第5回 ロボデックス [秋]」に併せて説明会を開催し、物流・製造現場における自律走行搬送ロボット(AMR)の導入と運用を支援する搬送ロボット制御サービス「Robo Sync for Mobility」を発表した。

  • ロボデックスのパナソニック コネクトブースの様子

    ロボデックスのパナソニック コネクトブースの様子

同サービスは、メーカーの異なるAMRやエレベーター、自動扉、PLCなどを共通の環境へ接続し、搬送ワークフローの設計、実行、監視、分析を一元化するもの。2026年9月末より提供を開始する予定で、AMRの設定変更やトラブル対応を現場で行いやすくし、導入後もロボットを継続して活用できる環境を提供する。

AMRを導入するだけでなく使い続けられる環境を構築

物流や製造の現場では、労働力不足や人件費、原材料費、物流費、エネルギーコストの上昇を背景に、搬送工程の自動化を可能とするAMRの導入が進みつつある。

一方、メーカーごとにAMRのマップや運用ソフトウェア、アラート、ログの形式が異なるほか、エレベーターや自動扉、PLCなどの周辺設備と連携する場合も個別の接続作業が必要で、複数メーカーの機器を組み合わせたシステムを構築こととなり、導入後の運用や設定変更、トラブル対応が複雑になるといった課題がある。

特に生産品目の変更に伴って搬送先や経路を変える場合や、AMRが停止した場合においては、多くの場合、外部のシステムインテグレーターや機器メーカーへ対応を依頼しなければならず、復旧まで生産や搬送が止まる可能性もあり、導入に躊躇する企業も多いという。

Robo Sync for Mobilityは、AMRや周辺設備の接続情報、搬送シナリオ、タスク、設備の状態、実行履歴などを1つの環境で管理することで、こうした運用負荷を軽減することを可能とするソフトで、同社では、AMRを導入するだけでなく、現場が主体となって使い続けるための基盤を提供するサービスと位置付けている。

  • Robo Sync for Mobilityの3つの特徴

    Robo Sync for Mobilityの3つの特徴。AMRや周辺設備のノーコード連携、停止前後のデータに基づく原因分析と早期復旧、Robo Sync for Cobotとの連携による複数工程の自動化を実現する

異なるメーカーのAMRをノーコードで一元制御

Robo Sync for Mobilityでは、動作を規定したブロックを組み合わせるビジュアル画面や、マップ上に動線を描く操作によって、AMRや周辺設備の動作をノーコードで設定できる。

  • Robo Sync for Mobilityによるマルチメーカー対応とノーコード設定

    Robo Sync for Mobilityによるマルチメーカー対応とノーコード設定。提供開始時点ではKnewbots、PUDU、iRayple、カチャカなどに対応し、ブロックの組み合わせやマップ上への動線入力でAMRや周辺設備の動作を設定できる

複数メーカーのAMRに共通のインタフェースを提供するため、AMRを追加した場合や別メーカーの製品へ変更した場合も、メーカーごとの操作方法を一から習得する負担を減らせるというメリットもある。

提供開始時点では、Knewbots、iRayple、Pudu Robotics、カチャカ(Preferred Robotics)など4社のAMRに対応する。現在、5社目としてRoboPathを社内で実証実験的に活用するなど、今後はそのほかのメーカーに対してもAPIの公開状況や市場での採用状況を踏まえながら、対応製品を順次拡大する計画だとしている。

周辺設備では、エレベーター、自動扉、PLCなどとの接続を進める。エレベーターはOTIS製品との連携に対応済みとするほか、社内工場での導入に向けてフジテック製品との接続も進めているとする。

AMRとエレベーターが連携されれば、AMRが自動でエレベーターを呼び出し、目的階へ移動して搬送を継続できるようになる。単一の製造工程内にとどまらず、物流棟から製造棟、工程間からラインサイドまで、AMRの活用範囲を広げることが可能となる。

AMR停止前後の状況を時系列で再現

Robo Sync for Mobilityのもう1つの特徴が、トラブル発生時の原因切り分けを支援する機能である。

AMRを用いた搬送システムでは、ロボット本体だけでなく、搬送タスク、PLC、自動扉、エレベーター、無線LAN、作業者による操作などが相互に関係する。そのため、AMRが停止した場合も、ロボット本体の異常なのか、設備側の信号なのか、無線通信の切断なのかを判断することが難しい。

同サービスでは、AMRの位置、状態、アラーム、バッテリー残量に加え、搬送依頼の内容や優先度、設備のI/O、無線LANの信号強度やローミング、パケット損失、作業者による一時停止やリセットなどの操作を共通の時刻軸で記録する。

  • Robo Sync for Mobilityのトラブル原因分析機能

    Robo Sync for Mobilityのトラブル原因分析機能。AMRの稼働情報、搬送タスク、設備イベント、無線状態、作業者の操作を共通の時刻軸へ統合し、停止前後の再現、原因候補の絞り込み、初動復旧、再発防止を支援する

トラブルが発生した場合は、運用者にアラームで連絡が飛ぶほか、停止前後の状態を巻き戻すように確認し、同じ時刻に発生していたアラーム、設備信号、通信状態、タスク履歴を突き合わせることで、原因の候補を絞り込むことを可能とする。監視カメラとの連携も進めており、記録されたデータと映像を組み合わせ、現場で何が起きていたのかを確認できるようにすることで、データだけでなく、映像からも状況把握をしやすくすることで問題解決の時間短縮を図ることができる。

これにより、外部ベンダーの到着を待たず、現場担当者が初動復旧を行える可能性が高まるほか、復旧手順や設定変更をナレッジとして蓄積することで、同様の設備を持つ別のラインや工場へ展開することも想定できるようになるとする。

Cobotとの連携で複数工程を自動化

Robo Sync for Mobilityは、協働ロボット向けの「Robo Sync for Cobot」と連携し、ロボットアームによる作業とAMRによる搬送を一連の工程として制御することもできる。

例えば、協働ロボットが部品の組み立てや検査を完了したタイミングに合わせてAMRを配車し、完成品を次の工程へ搬送することが可能となる。作業の進捗状況に応じてAMRの搬送先や優先度を変更し、適切なAMRを適切なタイミングで割り当てることも可能だという。

  • Robo Sync for CobotとRobo Sync for Mobilityによる複数工程の連携

    Robo Sync for CobotとRobo Sync for Mobilityによる複数工程の連携。協働ロボットの作業進捗に応じて搬送優先度を決め、適切なAMRを適切なタイミングで配車する

  • ブースでも協働ロボットとAMRの連携デモが行われていた

    ブースでも協働ロボットとAMRの連携デモが行われていた。デモでは、通常のミスのない連携のほか、ピックアップするターゲットがない場合、アラートがRobo Sync上に表示され、何か起こった際のログデータと録画データの再生が行われる様子も映し出される様子なども見ることができた

Robo Syncを活用した協働ロボットとAMRの連携動作の様子

従来はロボットアームを用いた作業工程とAMRによる搬送工程を、それぞれ異なるシステムとして構築する必要があった。Robo Syncの共通基盤上で連携させることで、単独工程の自動化から複数工程をまたぐ自動化へ段階的に広げられるようにする。

パナソニックグループの製造現場で実際に活用

すでにパナソニックグループ内では、ノートPC製造工場とコンデンサ製造工場でRobo Sync for Mobilityの導入が実証実験的に進められている。

例えばノートPCの製造工場では、物流棟から組み立て工程への部材供給と基板工程から組み立て工程への搬送をiRaypleのAMR2台に置き換えたという。部材の供給状況を検知し、自動扉とAMRを連携させることで、必要な材料を適切なタイミングで組み立て工程へ届けることを可能としたという。

  • ノートPC製造工場におけるRobo Sync for Mobilityの導入検討事例

    ノートPC製造工場におけるRobo Sync for Mobilityの導入検討事例。物流棟から組み立て工程への部材供給と、基板工程から組み立て工程への搬送をAMRへ置き換え、自動扉や空き棚検知とも連携する

また、コンデンサの製造工場では、複数の建物と階層をまたぐ工程間搬送を自動化する。現在は7ブロックにて計21人が搬送作業を担当しているが、iRaypleの28台のAMRを工程間搬送で活用するほか、一部通路が細いところがあり、より細身のRoboPathのAMRを28台活用することで、そうした問題の解決を狙うことを計画しているという。

  • コンデンサ製造工場におけるRobo Sync for Mobilityの導入検討事例

    コンデンサ製造工場におけるRobo Sync for Mobilityの導入検討事例。iRaypleとRoboPathのAMRを各28台使用し、エレベーターや自動扉と連携して、複数の建物と階層をまたぐ工程間搬送の自動化を目指す

Robo Syncファミリで導入検討から運用までを支援

パナソニック コネクトは、Robo Sync for Mobilityに先立ち、ロボット導入アシストサービス「Robo Sync Planner」と、協働ロボット制御サービス「Robo Sync for Cobot」を提供している。

  • パナソニック コネクトによる物流・製造現場向けロボット導入支援サービスの展開

    パナソニック コネクトによる物流・製造現場向けロボット導入支援サービスの展開。2025年10月のRobo Sync提供開始後、Robo Sync PlannerとRobo Sync for Cobotを追加し、2026年9月にRobo Sync for Mobilityを発表した

Robo Sync Plannerは、ロボット導入を検討する工程について、作業内容、利用可能なスペース、生産数、稼働時間などを入力すると、自動化の難易度や実現可能性、投資対効果(ROI)を診断するサービスである。

質問項目が100項目以上に達する詳細診断の入力は手間がかかるため、その作業負担の軽減に向け、作業風景を撮影した動画や手順書をAIで解析し、必要な情報の約8割を自動入力する機能も提供する。AIは判断した根拠を併せて提示することが可能で、利用者はその内容を確認し、場合によっては内容を修正できるようにしてある。

Robo Sync Plannerは月額8000円(5名まで利用可能な場合)から利用可能なサブスクリプション形式で、すでに提供を開始している。生成AIとの対話を通じて不足情報を補完し、診断結果が自動化に適さない場合に改善方法を提案するAIエージェント機能を提供予定とするほか、作業内容を踏まえて、自動的にRobo Sync for Cobotの作業プログラムを生成してくれる機能も試用版を提供済みで、こちらは年内リリースが予定されているという。

一方のRobo Sync for Cobotは、複数メーカーの協働ロボット、エンドエフェクタ、カメラなどを共通のインタフェースから制御する。現時点でロボットアーム6社、エンドエフェクタ6社、周辺機器7社に対応しており、バーコード読み取り、OCR、寸法測定、数量カウント、物体や把持位置の検出などの画像認識機能も利用できる。

生成AIで協働ロボットの動作を作成

Robo Sync for Cobotでは、ブロックを組み合わせてロボットの動作を作成するビジュアルプログラミングを採用している。メーカーごとに異なるロボット言語を習得せず、共通の操作方法で動作を設定できる。

さらに、自然言語で実行したい作業を入力すると、生成AIが必要な動作ブロックを作成してくれる機能をベータ版として2026年7月より提供を開始した。

  • Robo Sync for Cobotの生成AIプログラム機能を用いて協働ロボットの挙動シナリオを作成した様子
  • Robo Sync for Cobotの生成AIプログラム機能を用いて協働ロボットの挙動シナリオを作成した様子
  • Robo Sync for Cobotの生成AIプログラム機能を用いて協働ロボットの挙動シナリオを作成した様子。最初に「A地点からB地点までピックアンドプレイスするシンプルなシナリオを作成してください」と指定し、出来上がったシナリオに、さらに「物体を掴む離すのあとに5秒待ち入れて」という指示を追加して、シナリオを追加している

これにより例えば、物体を画像認識で検出し、指定した位置から別の位置へ移動させ、対象物がなくなるまで繰り返すといった一連の処理を自然言語で指示できるようになる。高さや座標などの情報が不足している場合は生成AIが質問し、利用者との対話を通じて動作を具体化する。

パナソニック コネクトは、生成AIが作成したロボット動作を仮想環境上で確認するシミュレーション機能も開発している。AIによる動作生成とシミュレーションによる検証を繰り返すことで、実機を用いる前に動作の精度と安全性を高める考えだ。

月額7万円から提供、中堅・中小企業の導入を後押し

Robo Syncファミリが主な対象とするのは、ロボットを運用する専門人材や大規模な投資余力を確保しにくい中堅・中小企業である。

中堅・中小企業では、特定の工程から段階的に自動化したいという需要が多い一方、自動化の効果や費用が分からず導入判断に時間がかかるほか、導入後の設定変更を外部ベンダーへ依存することで運用コストが増加するという課題がある。

Robo Sync Plannerで自動化の可能性と投資効果を確認し、Robo Sync for CobotとRobo Sync for Mobilityでロボットの導入と運用を内製化しやすくすることで、企画から運用までのハードルを下げることを狙う。

Robo Sync for Mobilityの基本ライセンスは管理PC当たり月額7万円で、AMR接続ライセンスは1台当たり月額6000円。必要に応じて、環境構築、設定、搬送ワークフローの作成、操作説明を含む350万円の導入支援パッケージも用意する。

Robo Sync for Cobotは月額2万円で、5台までの協働ロボットを利用できる。買い切り版は60万円(初年度保守費用込み)としている。Robo Sync Plannerの月額8000円を含め、価格を抑えることで導入の間口を広げ、まず単独工程からロボットを試し、効果を確認しながら対象範囲を拡大できるようにすることを狙った価格設定で、販売はセールスパートナーを通じた提供を基本としつつ、ロボットを自社で調達、運用できる企業には直接販売も行うとしている。

  • Robo Sync製品群の価格体系

    Robo Sync製品群の価格体系。Robo Sync Plannerは月額8000円、Robo Sync for Cobotは月額2万円、Robo Sync for Mobilityは基本ライセンスを月額7万円、AMR接続ライセンスを1台当たり月額6000円に設定している

CPSとフィジカルAIで現場を継続的に改善

パナソニック コネクトは、現場のセンサやカメラ、ロボットから得たデータをAIで解釈し、その結果を現場へフィードバックするサイバーフィジカルシステム(CPS)の研究開発を進めている。

Robo Syncを、ロボットを動かす制御ソフトウェアから、ロボットや設備、作業者のデータを集約して現場全体を改善するプラットフォームへ発展させる構想であり、将来的にはBlue Yonderのサプライチェーン管理基盤や、MES、WESなどの上位システムと連携し、複数拠点を含む生産・物流の最適化につなげたいとしている。

フィジカルAIについても、Vision-Language-Action(VLA)モデルをRobo Syncへ組み込む研究を進めている。ただし、現時点の汎用モデルでは産業現場に求められる精度に達しない場合があることから、作業内容を限定して精度を高め、個別のスキルとしてRobo Sync for Cobotなどへ実装する方針である。

  • Robo Sync製品群における将来機能の開発方針

    Robo Sync製品群における将来機能の開発方針。AIが生成したロボット動作を仮想環境で確認するシミュレーションと、VLAモデルによるフィジカルAI機能の実装を進める

AIが作業内容を理解して動作を生成した後、繰り返し実行する部分は安定性やコストに優れる従来方式であるプログラムへと変換するなど、AIと決定論的な制御を使い分けを目指すほか、人間の作業をそのまま置き換えるのではなく、夜間の自動運転や工程全体のスループット向上など、ロボットの特性を生かせる用途から展開していくことを目指すとする。

Robo Syncのパートナーは2026年9月時点で、ロボットメーカー、AMRメーカー、商社、周辺機器メーカー、セールスパートナーなど37社まで拡大しており、そうしたパートナーと協力していくことで、同社は自社工場で蓄積したものづくりと自動化の知見に、AI、画像認識、シミュレーションを組み合わせ、ロボット導入の裾野を中堅・中小企業へ広げ、人手が不足している現場の課題解決の支援につなげていきたい考えだ。

  • Robo Syncのパートナー・エコシステム

    Robo Syncのパートナー・エコシステム。ロボットアーム、AMR、周辺機器のメーカーや商社、セールスパートナーなど、ロボット関連企業37社と連携する

Robo Sync Plannerによる導入判断、Robo Sync for Cobotによる作業の自動化、Robo Sync for Mobilityによる工程間搬送を共通基盤でつなぐことで、単独工程から始めたロボット活用を複数工程へ段階的に拡大し、人とロボットが協働する産業現場の実現を目指し、日本企業の現場の変革に貢献していきたいとしている。