ヤンマーホールディングスとソニーグループは、水中センシングに関する技術開発と社会実装を目的とする合弁会社「ヤンマーブルーテック株式会社」を9月8日付で設立し、10月1日から事業を開始。第一弾プロジェクトとして、船底を洗浄するための遠隔操縦無人潜水艇(ROV)の技術開発に取り組む。
ヤンマーブルーテックでは、海洋生態系の保全や海洋インフラ点検における人手不足問題など、海洋に関するさまざまな課題解決に向け、新たな技術やソリューションの創出に取り組む。ヤンマーHDの連結子会社となっており、出資比率はヤンマーHDが90%、ソニーGが10%。資本金は3億8,830万円。
第一弾として取り組む研究プロジェクトは、海中調査や船底洗浄作業で使われる遠隔操縦無人潜水艇(ROV:Remotely Operated Vehicle)の高度化と実用化。ヤンマーとソニーが共同で、技術開発と実証実験を進める。
近年、船体に付着した生物の移動が海洋生態系にもたらす影響が問題視されている。国際海事機関(IMO:International Maritime Organization)による法整備や環境規制により、海運業者も船体付着生物への対処が厳格に求められてきているが、現在はダイバーによる洗浄が主流で、人手不足や安全確保などが課題となっている。
ヤンマーグループでは、高圧水噴射式で業界最高級をうたう洗浄速度の船底洗浄ROVや、デブリ(船体から除去した汚れや付着生物などを指す)をマイクロメートル単位でろ過回収できる“デブリ回収装置”の開発に取り組んでいる。
一方ソニーは、動体歪みのない高感度撮影を可能にするグローバルシャッター方式のイメージセンサーや、濁りや浮遊物など海中環境に適応した画像処理技術、リアルタイムでの自己位置推定技術などを保有している。
今回のプロジェクトでは、ヤンマーが開発するROVにソニーの要素技術を実装することで、水中映像の鮮明化や3Dデータ化、自己位置の把握など、従来よりも高効率なROV運用を追求。船底洗浄作業を効率的にすることで、人に依らない安全かつ安定した運用を可能にする、新たなソリューション展開につなげる。
