ispaceは、現在開発を進めている月着陸船「シリーズ3ランダー(仮称)」の熱構造モデルを用いた環境試験を終え、基本構造設計・熱設計の検証完了を発表。「ミッション4打ち上げに向けた開発が着実に進んでいる」としている。
シリーズ3ランダー(仮称)は、ミッション2で運用した月着陸船「RESILIENCE」(レジリエンス)より大型化した“本格的商業化モデル”で、外形寸法は約3.3×3.6m(幅×高さ)、無燃料時の乾燥重量は約1,000kg。最大数百kgのペイロードを積載できる見込みだという。同機は2028年のミッション4で打ち上げ予定だ(なお、ミッション3は2027年打ち上げ予定)。
ispaceでは2025年4月から、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センターにある環境試験設備で、シリーズ3ランダーの熱構造モデル(STM:Structure and Thermal Model)の振動試験や音響試験、熱真空試験の3種類の環境試験を実施。
この試験は、打ち上げ環境と宇宙環境を熱的・機械的に再現し、宇宙機が直面する過酷な環境下において、ランダーの構造・熱設計が期待通り動作することを確認するものだ。打ち上げ時に月着陸船が受ける激しい振動や、太陽光下で約130度、影では−140度といった極端な温度環境など、宇宙空間での耐性の検証や、真空状態での熱的特性の評価を行った。
今回の環境試験の結果は、次の開発段階である詳細構造設計に反映し、打ち上げに向けた構造設計の認定試験を行う構造モデル(Structural Model)で再度検証する。
ispaceは引き続き、ミッション4の宇宙空間における安全かつ安定した運用と、月面着陸の成功に向けて着実に開発を進め、フライトモデルの完成をめざす。

