HORIBAグループで水・液体計測事業を担う堀場アドバンスドテクノは10月1日、工業用水質計のラインナップ拡充として、アンモニア態窒素と硝酸態窒素の濃度をリアルタイムで連続測定できる新製品「HC-200N」を同日に発売したことを発表した。

  • アンモニア・硝酸態窒素計「HC-200N」

    アンモニア・硝酸態窒素計「HC-200N」(出所:HORIBA)

水処理施設の消費電力削減に貢献が期待

下水処理場をはじめとする水処理施設では、排水処理にかかる膨大な電力消費が課題視されており、カーボンニュートラル実現への要求が高まる中で省エネルギー化がより強く求められている。

特に微生物を用いた浄化プロセスでは、曝気量の管理が電力消費に大きく影響するため、浄化対象のひとつであるアンモニア態窒素のモニタリングが重要な指標とされる。また近年では、環境負荷低減やコスト削減への関心が一層高まりを見せており、排水中の窒素成分をより幅広く、かつ正確に把握できる測定装置の開発が重要となっている。

堀場アドバンスドテクノは、2016年にアンモニア態窒素計を発売して以来、高い耐久性や安定性を有する工業用水質計を数多く提供してきたとのこと。そして今般、アンモニア態窒素のみならず、同成分の硝化反応によって生じる硝酸態窒素も同時に測定可能な新製品としてHC-200Nを開発したとする。

同製品は、アンモニア態窒素と硝酸態窒素のリアルタイム連続測定により、生物反応槽内部の曝気量や、水処理工程での薬品投入量などの適切な調整に貢献。排水処理設備の運転効率化による電力消費低減やコスト削減を実現するという。さらに、排水処理プロセスの硝化・脱窒反応で発生する温室効果ガスである亜酸化窒素(N2O)の削減に向けた研究にも貢献が期待されるという。

また今回新たに開発された硝酸態窒素センサの電極には、二重の保護膜を用いたHORIBA独自の保護構造を採用しているといい、汚泥や微生物による電極への浸食を防ぐことで高い耐久性を実現。加えて、電極内部液の成分構成を最適化し、約6か月という長期安定性を実現したとしている。

そして、堀場アドバンスドテクノが提供する超音波洗浄機を今回の新製品と併せて用いることで、超音波による連続洗浄が可能になるとのこと。劣化診断機能を搭載したセンサによって、電極の劣化状態を常時監視することも可能で、維持管理の負担軽減も実現されるとした。

同社は、これまでHORIBAグループとして70年以上にわたり培ってきた水・液体計測技術を通じて、今後も下水処理技術の発展によって多様化する幅広いニーズに応えていくとしている。