
日本郵政傘下の日本郵便は、全国75%に当たる約2300の郵便局で、配達を行う運転手の酒気帯びの有無などを確認する点呼が不適切に行われていたと発表した。総務省は日本郵便に対し、再発防止策の報告を命令。また、国土交通省も別途、監査を行った。
村上誠一郎総務相は「法令順守の徹底を求めてきたにもかかわらず、郵便のユニバーサルサービスに重大な影響を及ぼしかねない多数の点呼業務の不備があったことは、大変遺憾だ」と批判。「報告内容等を踏まえ、必要な対応を行う」と述べた。
日本郵便の千田哲也社長は「書類が整っていれば点呼できていると考えた。実態を把握するというガバナンスが欠如しており、深く反省している」と語った。1月に兵庫県内の郵便局で点呼未実施が発覚したことを受け、同社が全国を対象に調査していた。
日本郵便によると、点呼を実施していないにもかかわらず、記録簿を作成する改ざん行為が行われていた他、本社が作成したマニュアルには、一人で点呼を行ってよいとする誤った方法が記載されていた。運転手による飲酒運転は、昨年度に横浜市などで4件確認されたという。再発防止策として、4月からは点呼を対面で行い、防犯カメラに映る位置で行うほか、デジタル化も進める。
日本郵便は、ゆうちょ銀行の顧客情報の不正流用など、足元で不祥事が相次ぐ。千田哲也社長や、親会社日本郵政の増田寛也社長は6月の株主総会をもって退任するが、千田社長は「ガバナンスは本当に不十分だった」と反省。増田氏も「内部通報制度などを整備したが、必ずしも十分機能していなかった」と振り返った。