シャープと古野電気は9月4日、LEO(低軌道)およびMEO(中軌道)向け衛星通信アンテナの開発における協業を開始したことを発表した。
5Gを中心とする携帯通信網の利用が困難な海上で、高品質かつ高速大容量通信を可能とするLEO/MEOの衛星通信の需要は大きく、今後の船舶への導入拡大が期待されている。
こうしたニーズを受けてシャープでは、スマホの設計で培った小型・軽量化技術や通信技術を活かす形で、小型かつ軽量なLEO/MEO衛星通信アンテナの開発を進めているという。一方の古野電気は、さまざまな航海機器や海上通信機器の製造・販売事業をグローバルに展開し、船舶向け機器における豊富な経験やノウハウを有しており、今回、双方が志向する方向性などが一致したこともあり、協業に至ったという。
両社は、今回の協業を通じて古野電気の船舶分野における専門的な知見や支援を得て衛星通信アンテナの開発を加速させていき、船舶における利用に適したLEO/MEO衛星通信アンテナの早期実用化を進めることで、航海時の通信環境の向上に加え、船舶業務のDX促進にもつなげていきたいとしている。
なお、9月中旬には、古野電気の実験艇に開発中のLEO/MEO衛星通信アンテナを搭載し、海上の試験用コースを航行する形での実証実験を実施する予定で、橋などの障害物のほか、船体の向きや速度が通信へ与える影響など、航海中のさまざまな状況下における実用性と課題を検証していくとしている。