NECは1月9日、2024年1月5日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公開したX線分光撮像衛星「XRISM(クリズム)」のファーストライト(初期観測画像取得)の成功に貢献したことを発表した。

XRISMは、2023年9月7日に種子島宇宙センターから打ち上げられたX線分光撮像衛星。高温プラズマの速度や化学組成を調べることで星や銀河、銀河の集団がつくる大規模構造の成り立ちを明らかにすることを目的としており、X線が素子に当った時にごくわずかに温度が上がることを利用し、そのエネルギーの大きさを測る「X線マイクロカロリメータ」を搭載した軟X線分光装置「Resolve」とX線CCDカメラを搭載した軟X線撮像装置「Xtend」が搭載されている。

NECは、このX線分光撮像ミッションにおいて、XRISMのバス機器の製造や衛星の全体インテグレーション、衛星システム試験、射場における打ち上げ準備、打ち上げ後の初期運用支援を担当。同社は、長年の軌道上実績によって洗練された信頼性の高いバス機器の提供をはじめ、極低温で動作する超高感度観測センサの性能を引き出す最適な衛星搭載環境の実現や観測天体からのX線を長時間安定的に捉える高精度ポインティング制御などの技術力を有しており、XRISMミッションより前のX線天文衛星である「ひとみ」や「すざく」なども手掛けてきた経験を有している。

なお、打ち上げ後のXRISMはいずれの機器も正常動作が確認されており、2024年2月からは定常運用段階に移行し、初期較正検証のための本格的な観測を開始する予定だとしている。

  • Abell 2319銀河団

    Abell 2319銀河団 (C)X線(JAXA)、可視光(The Digitized Sky Survey)

  • 大マゼラン雲にある超新星残骸N132Dのスペクトル

    大マゼラン雲にある超新星残骸N132Dのスペクトル (C)JAXA