2023年4月3日、13年ぶりに実施された宇宙飛行士選抜試験に合格し、候補者として選抜された米田あゆ氏が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に入社した。同日にはJAXA東京事務所に出社し、これからの意気込みを語った。

  • 宇宙飛行士候補者としてJAXAに入社した米田あゆ氏

    宇宙飛行士候補者としてJAXAに入社した米田あゆ氏

米田氏は、2019年に東京大学医学部医学科を卒業後、外科医師として勤務。またその傍ら、京都芸術大学大学院でデザインについて学んでいた経歴を持つ。選抜試験中は、医師・大学院生・宇宙飛行士候補者という3つの立場にあったというが、「どれも楽しく日々を過ごしていた」と振り返り、「3つすべてが1人でできるものではなく、周囲の方々のおかげで今がある」と感謝を述べた。

選抜試験の合格発表から入社までの約1か月間は、基本的に医師としての勤務を行っており、診察や外科手術などの業務を変わらず続けていたとのこと。米田氏自身が「慌ただしい1か月」と形容するように、医師と宇宙飛行士候補者という2つの立場にある中で、「現実と新しい生活の狭間にいるような感覚で、時間があっという間に過ぎていった」と語る。

  • 医師・大学院生・宇宙飛行士候補者という3つの立場を掛け持ちしていたという米田氏。慌ただしい日々ながらも、充実した学びのある時間となったようだ

    医師・大学院生・宇宙飛行士候補者という3つの立場を掛け持ちしていたという米田氏。慌ただしい日々ながらも、充実した学びのある時間となったようだ

しかしそういった時間の中では、周囲の人々から祝福や激励の言葉があったといい、「さまざまな言葉をいただく中で、徐々に宇宙飛行士候補生となる実感がわいていった」と話す。

入社当日を迎えるにあたって、特に生活の変化はなかったとしながらも、「いつも通りに起きて、初めてなので少し背筋をしゃきっと伸ばしながら出社した」とのことだった。

JAXAでは4月3日に、東京事務所にて入構式を実施。ただし経験者採用の職員は式には参加しないため、米田氏はほかの新入社員と共にさっそく研修に臨む。

米田氏は入社後、有人宇宙技術部門 宇宙飛行士運用技術ユニット 宇宙飛行士グループに所属する。今後への意気込みについて「宇宙業界を盛り上げていきたい」としたうえで、同じく新生活を開始する人々に対しては「新しい環境を楽しみながら、不安な時には少しだけ勇気を出して進んでいってほしいし、自分自身もそうしていきたい」とエールを送った。

  • 記者からの質問に対応している最中も終始笑顔が印象的だった米田氏。すでに新入社員向け研修を開始しており、自身の目標でもある"月への到達"に向けて鍛錬を積んでいく

    記者からの質問に対応している最中も終始笑顔が印象的だった米田氏。すでに新入社員向け研修を開始しており、自身の目標でもある"月への到達"に向けて鍛錬を積んでいく