伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は1月12日、AI(人工知能)を用いた陶磁器の材料開発についての実証実験を、三重県工業研究所窯業研究室と共同で2022年8月に開始したと発表した。陶磁器製造に関する各種データを基に、耐熱性や吸水率など機能性の向上のための最適な原料配合や焼成条件を探索するAIモデルの作成を目指す。

三重県は土鍋などの耐熱陶器や急須、花瓶などの花器の国内有数の産地で、国産土鍋では国内シェア80%を占めている。同研究室は、窯業の原材料の試験研究や製品のデザイン開発及び技術支援・人材育成に取り組んでいる。

陶磁器製造において原料配合や温度などの焼成条件は、産地の特性や長年の経験や試行錯誤によって決められていたという。また、原材料の高騰や枯渇などの影響もあり、原料の効率的な消費や代替原料などが求められている。

CTCは、陶磁器の機能性向上を目的としたAIモデルの作成を行うため、過去の実験で求められた原料配合や焼成条件及び性能を入力し、化学成分などを含めた整理を行っている。作成したAIモデルから、原料を効率的に利用し耐熱性や吸水率などの機能性をさらに向上させる条件を探索する。

また、AIで求められた条件で陶磁器を作製して意図した結果になるかの検証を行い、さらに、新しいデータを加えることによってAIモデルの精度を向上させ、材料開発に有用なAIモデルの開発を目指す。今後は、土鍋などの耐熱陶器にも利用可能な材料の探索も実施する予定とのことだ。