Miletosは9月1日、新型コロナウイルス感染症の流行による、企業での経理領域のDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みや経費の使われ方などの変化についての調査結果を公開した。調査には、従業員300人以上の企業で経理または財務部署に2年以上従事している564人が回答した。

調査の結果、経理領域のDXを推進しているとする回答は全体で62.9%だったという。業種別に見ると、情報通信業(77.8%)、建設業(75.0%)、金融業・保険業(73.3%)、などの企業ではDXを推進している割合が高いようだ。反対に、医療・福祉では37.1%と推進の割合が低い。

また、経理部のDXを推進している企業は会社全体の出勤率が抑えられている一方で、医療・福祉など従業員が出勤する必要性が高い企業においては、経理のDX推進にあまり積極性が見られないという傾向があったとのことだ。

  • 経理領域のDXに推進・投資を行なっている企業の割合 資料:Miletos

    経理領域のDXに推進・投資を行なっている企業の割合 資料:Miletos

経理領域でDXしやすい業務を聞くと、「経費精算」との回答が44.5%と最も多かった。DXを実施、または予定している経理業務としては、経費申請のペーパーレス化(70.0%)、法人クレジットカードの導入(56.4%)などが挙げられたという。従業員数3000人以上の企業では、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を用いた不備や不正のチェックに取り組む(実施予定も含む)とする回答が約30%に上る。

  • DXしやすいと思われる経理業務 資料:Miletos

    DXしやすいと思われる経理業務 資料:Miletos

  • 経理領域でDXを実施または予定している業務 資料:Miletos

    経理領域でDXを実施または予定している業務 資料:Miletos

経理領域のDXが積極的に進められていない理由について聞くと、「予算がない/少ない」とする回答が30.7%、「方法はわかっているが、システムを運用する人材がいない(人手不足)」とする回答が18.5%だった。「どのように進めてゆけばよいかがわからない(わかっている人がいない)」との回答も17.5%ある。

  • 経理領域のDXが積極的に進められていない理由 資料:Miletos

    経理領域のDXが積極的に進められていない理由 資料:Miletos

コロナ禍においては、経費申請の件数はさまざまな費目で減少しているという。申請件数が「かなり件数が減った」「やや件数が減った」との回答があった費目は、交通費(49.3%)、出張費(58.0%)、会議費(51.9%)、交際費(55.3%)だ。

一方で、経費の利用実態がコロナ禍前(2020年3月以前)の水準に戻るかを質問したところ、「半年以内に戻ると思う」が9.9%、「1年以内に戻ると思う」が21.4%、「2年以内に戻ると思う」が19.8%と、半数近くの人が今後2年以内に経費の利用実態がコロナ禍前の水準に戻ると考えているようだ。

  • 経理申請の件数の増減 資料:Miletos

    経理申請の件数の増減 資料:Miletos

  • 経費の利用実態がこの先コロナ禍前の水準に戻ると考える時期 資料:Miletos

    経費の利用実態がこの先コロナ禍前の水準に戻ると考える時期 資料:Miletos