三菱重工と米ボーイングは7月19日、持続可能な航空産業の実現に向けた協業を行う覚書(MOU)を締結したことを発表した。

これにより、両社はSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)や水素、電動化、環境に配慮した素材の開発、二酸化炭素(CO2)回収、環境負荷ゼロに資する推進技術、新しい機体コンセプトなどの分野で協業し、持続可能な航空産業の実現に貢献するとのことだ。また、航空産業のカーボンニュートラルに有望と考えられるSAFについて、その実現を追求するとしている。

  • 両社はファンボロー国際航空ショーにてMOUに調印した

    両社はファンボロー国際航空ショーにてMOUに調印した

三菱重工はカーボンニュートラル社会や持続可能な航空産業の実現に向けた技術開発に取り組んでおり、近年では、SAFの商用化と普及に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」に加盟した。同団体は日揮ホールディングス、レボインターナショナル、全日本空輸、日本航空ら4社が幹事企業となり、SAFやカーボンニュートラル、資源循環の重要性を訴えながら市民および企業の行動変容を促す。

また、同社は2021年に「MISSION NET ZERO」を宣言し、2040年までにバリューチェーン全体を含むグループ全体のCO2排出量を2040年までにNet Zero(実質ゼロ)にする目標を設定した。その中間目標として、2030年までに同排出量を2014年比で50%まで削減する予定だ。

一方、ボーイングも再生可能エネルギーへの移行を促進するために、SkyNRG、Alaska Airlines、Etihad Airways、NASA、Rolls-Royce、United Airlinesなど複数のパートナーと提携を結んでいる。また、同社はCOP26において米国政府が世界経済フォーラムと協力して立ち上げたイニシアティブ「First Movers Coalition」にも参加しており、カーボンニュートラルを達成する新技術開発の加速を目指す。