オープンソースのDevSecOpsツール(Secはセキュリティ)を提供するGitLabは2020年4月、日本法人「GitLab Japan」を設立し、日本に本格参入した。日本法人設立から間もなく2年が経過することから、カントリーマネージャーの村上督(むらかみ・ただし)氏に、日本のビジネスを中心にGitLabの現状と今後の展開を聞いた。

  • GitLab Japan カントリーマネージャー村上督氏

村上氏は、同社の製品の特徴について、「毎月22日に製品をリリースしており、製品の成熟度が上がっている。さまざなDevSecOpsのライフサイクル機能を1つのツールで提供することで、単一のUI、単一の認証、単一のデータモデルで提供している。顧客のツールの使い方には3つのタイプがある。1つはプロジェクトごとにツールを使い分けるタイプ。これはそれぞれの部署が各自でツールを選択してやっていくと、リスクも高く、コスト的なデメリットがある。2つ目は、機能ごとにベストなツールを選択して使う方法。3つ目は機能を1つに統合して利用する方法。われわれのコンセプトはこれらとは異なるオールインワンコンセプトでやっていく。日本はプロジェクトごとにツールを選ぶというケースが多いが、GitLabはオールインワンコンセプトを前面に出してやっていく」と述べた。

  • ツールの使い方のタイプ

村上氏は、オールインワンコンセプトによって、サイクルタイムの短縮、高いコラボレーション、セキュリティの向上、エラーの減少といったメリットがあるとした。

また、同氏は、日本はまだまだウォーターフォール型が多く、アジャイル開発が進んでいない、SIerに発注するケースが多く、内製が少ないという特徴があるという。

同氏は、顧客のイノベーションに自社の製品を結び付けていかないといけないというのが現在の感触だと述べ、2月から体制を変更したことを明らかにした。

同社は2月から新年度に突入したが、これまでは、ターゲット顧客を決めて営業を行っていたが、2月以降は、米国のように産業別の展開に変更。金融(Fintech)、通信(5G)を主なターゲットにし、知見を貯めていくという。

  • 金融(Fintech)、通信(5G)を主なターゲットに

また、これまではプロジェクトリーダーや開発者を中心にウェビナーやワークショップなどを開催して訴求していたが、今後はアナリストやエクゼクティブをターゲットにラウンドテーブルやカンファレンスを開催していくという。

  • 国内体制を変更

「これまでプロジェクトを担当している人に、機能を中心に訴求してきたが、今後は上層部にビジネスバリューを訴求していく。われわれが目指してしているのは、セキュリティリスクを軽減できる、オペレーションコストを下げられる、開発の生産性が上がるといったことで、これらはエクゼクティブの方が判断する。また、アナリスト方は、これらの領域に造詣が深いので、われわれの立ち位置を理解していただいた上で、どういうソリューションが必要なのかというキーノートをつくっていただき、それをわれわれのイベントで使っていこうと思っている。現場の方に(ツールの必要性を)訴えても、上層部の方が理解していないと導入が進んでいかないと思う」(村上氏)

また、パートナーに関しても、これまでは協業を重視していたが、顧客の課題に合わせ、提供するバリューを一緒につくり出していくという方向に変更するという。

村上氏は、「欧米では、金融、通信でGitLabはデファクトになりつつあり、その流れが今後日本市場へ上陸することが予想される。国内には現在120万人ほどの開発者がいるが、このうち20万人程度が弊社の無償版を使っている。ただ、セキュリティがこれからはキーワードになっていくので、有償版のボリュームが上がっていくと思う」と、日本に市場に期待を寄せた。