デジタル庁は10月10日、「2021年デジタルの日ONLINE EVENT─デジタル庁創設記念─」を開催した。イベントの模様はYouTube、Twitterで生配信され、視聴回数は延べ250万回に達したという。

デジタル大臣を務める牧島かれん氏がオープニングトークを行い、「『デジタルの日』を設立した理由は、定期的に振り返り、体験し、見直すきっかけを作りたかったから。毎年この日がやってくることで、サイクルを回す、新たな体験をする。そんな日にしていきたい」と改めて『デジタルの日』への期待を語った。

  • オープニングトークを行うデジタル大臣牧島かれん氏

続いて、落合陽一氏、夏野剛氏、西村博之氏が、日本のデジタル化がどれくらい進んでいるのかを調査した結果をもとに、日本の「デジタル度」を発表した。

  • 左から、夏野剛氏、落合陽一氏

「テレビやスマートフォンなどの、デバイスの保有率」に関しては、スマートフォンやタブレットのようなデジタル機器と、FAX・ガラケーのような長く使われている機器では、保有している年代に大きな開きがあることがわかった。また、スマートフォンをはじめとした近年普及した機器は、都市部のほうが保有している人が多いこともわかったという。

  • 個人のデジタル度(1)デバイス保有(全体像) 資料:デジタル庁

情報収集に使用している媒体については、全体的にテレビの割合が高い一方、新聞や本・雑誌などの紙媒体を毎日見ている人は少ないという結果になった。年代別に見ると、20代はSNS中心で、50代はニュースサイト/ニュースアプリをよく利用していることがわかった。

この結果に、落合氏は「これだけテレビ一強の国も珍しいですね。本当に日本ならではの特性ですね」、夏野氏は「確かに自分たちが20代の頃は、政治やニュースに関心はなかった。身の回りの友達の動きを知る方が、興味があったかも。だから、ニュースよりSNS、というのは自然なことかな、と」、西村氏は、「今、テレビかネットかは若い人には関係なくて、テレビの情報もネットに上がっている中で、ネット上で見られるものについては、若い人にとっては一緒ではないか」と語ったという。

さらに、行政手続のデジタル化として、デジタル庁の職員が役所に足を運び、窓口での手続などを行ってかかった時間を測定した結果が発表された。イベントでは、「引越しの際の転出・転入手続」と「警察署での車庫証明の申請」の調査結果が紹介された。

引越しの際の転出の申請では、1枚の申請書類に対して、5回も氏名を記入する必要がある・書き方がわかりづらい・データの確認が必要など、多くの時間がかかってしまう仕組みになっていることが改めてわかった。転入の申請も、職員の入力作業の待ち時間に約30分の時間がかかってたという。

また、警察署での車庫証明の申請においては、手続をした職員が90分以上もかかっていたことがわかった。これは、予約や書類の事前提出ができず、窓口で混雑してしまったことが原因だったとのこと。

「日本のデジタル度2021」について、落合氏は、「KPIを設けて、データを以って進捗を見て、振り返っていくのが大事だなと思っています。例えば来年見てみて、今年90分かかっていた手続が5分になっていた、みたいな奇跡のようなことが起きたときに、把握できるのも指標を設けて追うからかなと。一方で悪くなることも出てくるとは思うので、そこも含めて定期的にレビューする必要があるなと感じています。来年は更に、我々の社会のDXがどう進んでいくのかを、読み解けるようなデータが集まってくることを期待したいですね」と話し、次年度以降もさまざまな指標でデジタル化の進捗を追っていく意義を力説したという。