三井化学は9月24日、NECと連携して市況に左右されやすい特定の製品の価格変動を予測する実証実験の実施を発表した。同実験を踏まえ、三井化学は適正な調達・生産・販売による利益の向上と価格変動による損失回避に貢献するAIを活用した需要予測システムの本格導入を目指す。

実証実験では、米dotDataが開発しNECが提供する、データサイエンスプロセス全体を自動化するAIソフトウェア「dotData」が用いられた。

三井化学ではこれまで、業務担当者の知見や経験に基づいて、過去の価格・採算推移や為替などの週単位に集計されたデータを用いて製品の需要動向を予想してきた。だが、グローバル化の進展や市場ニーズの急変により需要動向予想が難しくなってきており、原料の調達価格と調達数量、生産量のコントロールに影響が出てきていた。

今回の実証実験では、三井化学の提供する製品から、価格の予測が難しいとされ、市況にも左右されやすい製品を選定。当該製品の過去数年にわたる日次および週次の在庫データや工場稼働率、販売数量などのデータを「dotData」で分析し、無数の特徴量候補から有効なものを自動抽出することで高精度な価格の予測モデルを構築した。

実証の結果、継続的に改善すべき点はあるものの、「dotData」を活用することで翌月の当該製品の高精度な需要予測が可能となり、市場動向を踏まえた適正な販売価格の設定を実現できた。より良い販売計画立案と計画に基づいた調達・生産を行うことで、在庫金額の数億円規模の削減も見込める。また、「XXXXの動きと○○○○の価格に相関がある」など、人間では気づきにくい新たな業務知見も得られたという。

三井化学は今後、AutoML(ML:機械学習)を活用した需要予測を推進する。調達コストの削減、リードタイムの短縮、物流最適化によるCO2低減を通じて、社会課題の解決と顧客起点のビジネスモデルへと企業変革(CX:Corporate Transformation)を加速していくという。