クルー・ドラゴンもファルコン9も再使用

クルー・ドラゴン(Crew Dragon)は、スペースXが開発した宇宙船である。NASAはかねてより、ISSへの宇宙飛行士の輸送を民間に委託する計画を進めており、クルー・ドラゴンはその計画に基づいて開発された。

全長は約8m、直径は4m。通常4人、最大で7人乗ることができ、地球とISS、月との往復ができる能力をもつ。

機体は宇宙飛行士が乗り込む「カプセル」と、太陽電池などが搭載されている「トランク」からなる。カプセルは大部分が再使用できるほか、高い安全性を目指して設計されており、さらにコクピットにはタッチパネルを採用。船内で着る宇宙服(船内服)も機能性とデザイン性を両立させたスタイリッシュなものになるなど、新世代の宇宙船にふさわしい性能を多数兼ね備えている。

クルー・ドラゴンは2019年3月に無人での飛行試験「Demo-1」に成功し、2020年5月から8月にかけては、有人での飛行試験「Demo-2」にも成功。そして実運用段階に入り、2020年11月15日には野口氏ら4人を載せた運用1号機「Crew-1」が打ち上げに成功。野口氏らとCrew-1は現在もISSに滞在している。

  • Crew-2

    2020年5月に打ち上げられた、クルー・ドラゴンDemo-2 (C) NASA TV

今回、星出氏らを乗せたCrew-2のカプセルは、Demo-2ミッションに使用したものを再使用している。このカプセルには、Demo-2に搭乗した2人の宇宙飛行士によって「エンデヴァー(Endeavour)」という愛称が付けられている。

さらに、打ち上げに使用したファルコン9ロケットの第1段は、野口氏らが乗ったCrew-1の打ち上げに使用したものを再使用している。

Crew-1の打ち上げでは、カプセル、ロケットともに新品を使用しており、再使用の機体を使ったのは今回が初めてとなった。

また、JAXAとESAの宇宙飛行士がクルー・ドラゴンに同乗するのも初であり、2機の民間宇宙船が同時にISSにドッキングするのも初となる。2機の民間宇宙船で飛行した宇宙飛行士がISSで一緒に過ごすのも初である。

NASAとスペースXとの間で結ばれた契約、すなわちNASAが運賃を支払い、スペースXがその対価として宇宙飛行士の輸送を行う契約では、宇宙飛行士の輸送は計6回行われることが定められており、今回が2回目となる。

また、同計画の下では、大手航空宇宙メーカーのボーイングも「スターライナー」という宇宙船を開発しており、今年の夏にも2回目の無人の試験飛行を、そして秋以降には有人飛行の実施が計画されている。

  • Crew-2

    2020年8月に帰還した、クルー・ドラゴンDemo-2のカプセル。今回のCrew-2では、このカプセルを再使用している (C) NASA/Bill Ingalls

Crew-2の宇宙飛行士たち

シェーン・キンブロー(Shane Kimbrough)宇宙飛行士

キンブロー氏は1967年生まれの53歳。2004年に宇宙飛行士候補として選ばれ、2008年のSTS-126ミッションにミッション・スペシャリストとして参加し、ISSに滞在したほか、船外活動(EVA)も実施。2016年にはロシアのソユーズでふたたびISSに赴き、第49/50次長期滞在クルーとして、また第50次長期滞在の船長も務めた。

これまでに合計189日の宇宙滞在を経験し、6回の船外活動を行っている。

今回が3回目の宇宙飛行で、クルー・ドラゴンCrew-2の船長を務める。

メーガン・マッカーサー(Megan McArthur)宇宙飛行士

マッカーサー氏は1971年生まれの49歳。2000年に宇宙飛行士候補に選ばれ、STS-125ミッションで初めて宇宙へ飛び立ち、ハッブル宇宙望遠鏡の修理ミッションに従事。宇宙での活動時間は12日21時間で、5回の船外活動をこなした。

今回が2回目の宇宙飛行で、Crew-2のパイロットを務める。

星出彰彦(ほしで あきひこ)宇宙飛行士

星出氏は1968年生まれの52歳。1999年に日本人宇宙飛行士候補として選抜され、2001年に宇宙飛行士に認定された。2008年にSTS-124ミッションで初の宇宙飛行を行い、ISSにおいて「きぼう」日本実験棟の取り付け作業などを実施。さらに2012年にはソユーズでふたたびISSを訪れ、宇宙実験やISSのメンテナンスなどを行った。

Crew-2が3回目の宇宙飛行であり、ミッション・スペシャリストとして、打ち上げから帰還までの間、機体の管理や、タイムラインやテレメトリー、消耗品のモニタリングを担当し、船長やパイロットを補佐する。

トマ・ペスケ(Thomas Pesquet)宇宙飛行士

ペスケ氏は1978年、フランスに生まれ、現在43歳。2009年にESAの宇宙飛行士候補として選ばれ、2016年10月にソユーズ宇宙船で打ち上げられ、ISSへ飛行。第50/51次長期滞在クルーを務めた。196日間宇宙に滞在し、2回の船外活動も実施。2017年6月に地球に帰還した。

今回が2回目の宇宙飛行で、星出氏と同じくCrew-2のミッション・スペシャリストを務める。

  • Crew-2

    宇宙飛行を前に記念撮影するCrew-2の宇宙飛行士たち。左から、ペスケ氏、マッカーサー氏、キンブロー氏、星出氏 (C) SpaceX

参考文献

NASA’s SpaceX Crew-2 Astronauts Headed to International Space Station | NASA
Crew-2 Astronauts Head to ISS to Conduct Microgravity Science | NASA
Commercial Crew Program
SpaceX - Launches
SpaceX - Dragon