ロシュ・ダイアグノスティックスは12月9日、モデルナが進めている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けワクチン候補「mRNA-1273」の研究に、自社の抗体定量検査試薬「Elecsys Anti-SARS-CoV-2 S」を用いることについて、パートナーシップを締結したことを発表した。

新型コロナ向けワクチンの理解を深めるためには、ワクチンが誘発する抗体レベルの変化について評価するために、ワクチン接種前に対象者が持っている抗体レベルを確認することが役立つとされている。特に、新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質に対する抗体の場合、抗ウイルス活性を有し、潜在的な免疫と相関することが示されること、ならびに感染防止および重症化の発症予防におけるワクチンの有効性を確立する上での役割が期待されている。

同検査試薬は、ヒト血清および血漿中の新型コロナウイルスに対する抗体を定量測定する体外診断用のイムノアッセイで、血液検体を用いて、コロナウイルスのスパイクたんぱく質に対する抗体の量を測定することを可能とするもの。この抗体の存在とレベルを調べることで、対象者がすでにウイルスに感染しているか、また、ウイルスに対する免疫を獲得している可能性があるかを知ることができるようになる。モデルナの研究でも、新型コロナウイルスの受容体結合ドメイン(RBD)に対する抗体のレベルを測定することで、ワクチン接種による感染防止と抗体の量との相関関係についての洞察を得ることができるようになるとのことで、これにより再接種を必要とするのかどうかや、いつ必要とするのかといった評価、その他の臨床的な疑問への回答につながることが期待さるという。

なお、同検査試薬は米国食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可(EUA)を2020年11月25日付で取得済みだという。