OKIは12月1日、京都大学、ヘルステック研究所と睡眠の問題を抱えた働く世代を対象に、スマートフォンアプリを通じて個別化された行動変容メッセージを送る睡眠改善ソリューションの実証実験を11月9日から開始したと明らかにした。同アプリは、一般的な健康アドバイスと異なり、個人に寄り添ったメッセージを配信することでメッセージへの受容性を高め、継続的な利用を促すという。実証実験では、利用者の属性や自覚している睡眠の状況にあわせたメッセージで睡眠と、覚醒のリズムを整えることが睡眠改善の効果につながることを医学的に検証していく。

  • 実証実験に用いる睡眠改善ソリューションの構成

    実証実験に用いる睡眠改善ソリューションの構成

OKIは日常の生活サイクルの中で現在の状況(自宅、会社、外出など)を検出し、個人の行動に合わせて適切なタイミングで適切な情報をリアルタイムにメッセージとして通知するプロンプト技術(人の意識や行動に変化をもたらす行動変容システム)を開発してきた。

そして、今回、京都大学が睡眠医学の知見をもとに作成した不眠症改善に適した介入ルールをデータベース化し、ヘルステック研究所が開発しているスマートフォンアプリにプロンプト技術を搭載した睡眠改善ソリューションを開発。

同ソリューションを用いた実証試験は、日勤帯で働いている睡眠に関して気になることがある20歳以上の男女を対象に実施する。

研究対象者を無作為にアプリ使用グループ(介入群)とアプリ不使用グループ(非介入群)に分け、介入群の被検者に対しては、日中の不調がある場合は昼頃に「眠気を感じるときは、明るい場所で光を浴びてみましょう」、睡眠効率が低い場合は夕方に「就寝時刻を15分遅くしてみましょう」など、各個人の状態に合わせて睡眠を改善するメッセージを送り、行動変容を促す。

一方、非介入群は従前の生活習慣を継続し、4週間にわたり双方の不眠症重症度質問表(不眠の主観的重症度を測定するスクリーニングツール)における回答の変化を比較調査。被検者として年内に120人の希望者を募り、11月から2021年3月まで実験を行い、システムの効果を検証する。

近年、睡眠不足が借金のように積み重なり生活習慣病などのリスクを高める「睡眠負債」が深刻な問題となっていることに加え、コロナ禍による外出自粛などで健康への関心が高まっているため、睡眠などの問題による生活習慣病の悪化や心身の不調を社会課題と捉え、健康的な生活習慣の定着を目的とした行動変容サービスの実用化を進めていく方針だ。