日東紅茶などで知られる三井農林は8月18日、ストレス意識の高い女性を対象に紅茶の香りの睡眠に対する有効性確認試験を実施した結果、就寝時に紅茶の香りを嗅ぐことで、ストレスが低減され、睡眠の質を高める効果があることを確認したと発表した。

同成果は同社R&Dグループの大野敦子氏、佐久川千津子氏、矢田幸博氏らによるもの。詳細は「日本生理人類学会誌」に掲載された。

今回の研究は、紅茶の香りを就寝時に使用することで、日中のストレスで高まった交感神経活動の抑制と、副交感神経活動の優位化を図ることで、入眠を円滑にし、睡眠の質を改善することが可能かどうかを調べたもの。

具体的には、ストレスが原因で睡眠が良くない自覚がある健常な女性20名を対象に、紅茶の香り(ダージリン紅茶の芳香蒸留水:アロマウォーター)とプラセボ(水)をディフューザーを用いて、就寝時にそれぞれ1週間ずつ揮散させ、主観的な睡眠評価、主観的なストレス評価、客観的な睡眠評価の評価を実施。その結果、就寝時に紅茶の香りを嗅ぐことにより、入眠潜時および離床潜時の短縮、睡眠時間の延長、睡眠効率を向上させる生理作用と併せて、主観的な睡眠の質の向上、起床時眠気、入眠・睡眠維持、疲労回復、睡眠時間に対する満足感の向上およびストレス意識を低減する心理作用を有することから、ストレス意識の低減により睡眠が円滑になることが強く示唆されたという。

この結果を受けて研究チームは論文にて、「草木由来や食品由来の香りは交感神経活動を抑制し、副交感神経活動を優位にすることでサーカディアンリズムを整え、自然な睡眠に近い形で、眠りの質を高めることが期待される」、と述べており、今後は更年期女性や高齢者などを対象にした睡眠改善効果の検証などを進め、より実生活に即した睡眠改善法の提案を行っていきたいとしているほか、紅茶の香り成分中の有効成分の探索と特定により、詳細な作用メカニズムの解明も行っていきたいとしている。

  • 紅茶の香りがストレス意識の高い女性の睡眠に及ぼす効果

    紅茶の香りがストレス意識の高い女性の睡眠に及ぼす効果 (出所:三井農林Webサイト)