タカラバイオは6月2日、同社が5月1日に発売したRNA精製不要で検査時間約60分を実現する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)検出キット「SARS-CoV-2 Direct Detection RT-qPCR Kit」を用いて、唾液を検体として、迅速・簡便に新型コロナウイルスのPCR検査が行えることを確認したと発表した。

  • SARS-CoV-2 Direct Detection Kit

    SARS-CoV-2 Direct Detection Kit (出所:タカラバイオWebサイト)

従来、新型コロナウイルスのPCR検査には、鼻咽頭拭い液の採取が必要であったが、同手法では被験者への身体的負担が高いうえ、感染者の咳やくしゃみなどによる医療従事者への飛沫感染が懸念されており、より簡便な唾液を用いた検査手法が求められていた。

こうした背景もあり、厚生労働省は6月2日付で研究結果として唾液を用いたPCR検査であっても、症状発症から9日以内の患者の場合、鼻咽頭拭い液による検査と良好な一致率が認められたことから、検査実施にかかるマニュアルの改訂やPCR検査キットの一部変更承認・保険適用を実施。唾液を検体とする同キットによる検査も、行政検査に使用できるだけでなく、公的医療保険の適用対象となったという。

なお、同キットは、新型コロナウイルスに特異的な遺伝子配列を認識するように設計されているため、唾液を検体とした場合でもPCR反応は阻害を受けず、RNA抽出工程を必要とする従来の方法と比較して、同等の精度と感度を持つことが確認されているという。また、各社のリアルタイムPCR装置への適合性を確認しているとのことで、同キットの試薬と加熱による前処理により、ウイルスが不活化されるため、検査現場の負担も軽減できるとしている。

同キットはすでに月産2万キット(200万反応分)を安定供給できる製造体制が構築されており、世界的なPCR検査需要に対応可能だという。