日産自動車とNTTドコモは3月12日、第5世代移動通信方式(5G)を用いて、「Invisible-to-Visible(I2V)」技術を走行中の車両で活用する実証実験を開始した。

  • 実証実験で使用する「NV350キャラバン」

    実証実験で使用する「NV350キャラバン」

日産は、リアルとバーチャルを融合し、ドライバーが見えないものを可視化するI2Vを「ニッサン インテリジェント モビリティ」を体現する未来のコネクテッドカー技術の1つとして研究開発を進めている。I2Vは、車内外のセンサが収集した情報とクラウド上のデータを統合することで、クルマの前方や建物の裏側、カーブの先の状況など通常では見えないものをドライバーの視野に映し出すという。

また、人々がVR(仮想現実)で変身したアバターとして活動する仮想世界のメタバースにつながり、メタバース(インターネット上に構築された、人々が様々な方法や形態で自由に交流できる仮想世界)を介してさまざまなスキルや知識を持った人々や遠隔地にいる知人や家族と現実世界のクルマとをマッチングし、AR(拡張現実)によって車室内に3Dアバターとして登場させる。

これにより、メタバースの人々と現実世界の人とが実際に同乗しているかのような存在感を感じながら、これまでにないドライブ体験を共有することができるという。

  • Invisible-to-Visible(I2V)のイメージ

    Invisible-to-Visible(I2V)のイメージ

実証実験は、車内のユーザーと遠隔地にいるユーザーが、互いにリアルな存在感や同乗感覚を得るために必要な情報提供方法(ユーザーインタフェース)やインタラクティブなコミュニケーションの有用性などを評価・確認する。また、車外から車内へのアバターの伝送、および車内の状況を車外で確認する俯瞰映像の伝送をリアルタイムで行うため、ドコモの5G通信を活用する。

なお、実証実験は日産のテストコース「グランドライブ」(横須賀市夏島町)で実施し、日産の「NV350キャラバン」をベースとした実験車両からドコモの5G通信によってメタバースへ接続することで、グランドライブ内の離れた場所に実在するユーザーを3Dアバターとして走行中の車内に出現させ、車内のユーザーと会話しつつ情報提供を行う。