2018年のレッドブルエアレースを締めくくる第8戦が2018年11月19日、アメリカ合衆国フォートワースで開催され、マルティン・ソンカ選手(チェコ)が今年4回目の優勝を飾って年間ポイントも首位となり、初のチャンピオンに輝いた。昨年チャンピオンの室屋義秀選手は本大会で5位、年間ポイントも5位でシーズンを終えた。

  • ソンカ選手

    最後のフライトを終え、初の年間チャンピオン決定に全力の絶叫を上げるソンカ選手 (c) RedbullContentPool

上位3選手が王者争い、4位以下も接戦の最終戦

室屋選手が優勝し初の年間チャンピオンに輝いた昨年最終戦と異なり、今年は室屋選手はチャンピオン戦線に残っていない。上位選手の年間順位は以下の通りだ。

  1. マイケル・グーリアン(アメリカ) 70点
  2. マルティン・ソンカ(チェコ) 65点
  3. マット・ホール(オーストラリア) 63点
  4. ミカ・ブラジョー(フランス) 36点
  5. 室屋義秀(日本) 34点
  6. ピート・マクロード(カナダ) 27点
  7. カービー・チャンブリス(アメリカ) 25点

レッドブルエアレースは1つの大会で優勝すると15点、最下位は0点なので、室屋選手がフォートワースで優勝しても3位のホール選手には追いつけない。4位のブラジョー選手は射程圏内だが、下を見ると11位のファン・ベラルデ選手(スペイン)も14点差で、今大会の結果次第で年間順位は大きく変わりえる。

  • 室屋選手

    最後の決戦の場に集結したエアレーサー。右から2人目が室屋選手 (c) RedbullContentPool

一方、トップ選手3名は7点差。首位から順に、2004年から参戦するもチャンピオン経験がなかったが、今年は2大会優勝の地元アメリカのグーリアン選手。昨年最後まで室屋選手とチャンピオンを争い、今年は3大会優勝のソンカ選手。室屋選手と同じ2009年参戦で、一昨年2位、昨年3位で今年は2大会優勝のホール選手。誰がチャンピオンになってもおかしくない強者揃いだ。

  • 編隊飛行

    会場のテキサス・モーター・スピードウェイ上空を編隊飛行。手前から首位のグーリアン選手、2位のソンカ選手、3位のホール選手 (c) RedbullContentPool

上位選手は初戦を順当に勝ち抜き

前日の予選は晴天に恵まれ気温は20度だったが、本戦は雲が低く垂れこめ気温も5度と急変し、暑いことが多いレッドブルエアレースの中ではかなり寒い。エンジンのオーバーヒートは起きにくいだろう。またコースはレーシング場両端のスタンドのない部分を結ぶような直線的コースで、飛行機の高速性能がものを言う。

  • 特徴的なコース

    2回の宙返りと1回の大きなターンで、同じコースを逆行する特徴的なコース (c) RedbullContentPool

14選手が7組に別れて戦う初戦のラウンド・オブ14は、おおむね順当に上位が勝ち進んだ。上位7名の中での直接対決となったのは2組で、ホール選手がマクロード選手に、ブラジョー選手がチャンブリス選手に勝利。このうちチャンブリス選手はわずか0.11秒差の僅差の接戦だったため「最速の敗者」となり、次のラウンド・オブ8へ勝ち進んだ。

  • 土曜日の予選は晴天
  • 土曜日の予選は晴天
  • 土曜日の予選は晴天に恵まれ、エキシビションの星条旗も青空に映えたが、本戦は気温が15度も下がりまったく異なるコンディションになった (c) RedbullContentPool

グーリアン選手、ソンカ選手も順当に勝ち抜き。室屋選手は、対戦相手のペトル・コプシュタイン選手(チェコ)が先に飛んでパイロンヒットし3秒のペナルティを受けたため、余裕のあるフライトができた。丁寧にミスなく飛行した室屋選手は2.7秒差でコプシュタイン選手を破り、順調なスタートを切った。ラウンド・オブ8で敗退した上位勢はマクロード選手のみだ。

  • チャンブリス選手

    地元アメリカのチャンブリス選手は「最速の敗者」で辛くも勝ち抜き。それが室屋選手に意外な結果をもたらす (c) RedbullContentPool