「3月、大阪オフィスの移転を進めるChange! Working Unitが発足し、4月にワークプレイス構築を手がけるパワープレイスさんに3回のワークショップを開催していただきました。参加したのは全社のさまざまな部署から、性別・年代を問わず集まった30名の社員です」(中山氏)
ワークショップは、「ビジョン」「経営」「10年先」というキーワードをベースに、変革のねらい(どう変わっていきたいか)の共有、現状認識、目標設定、目標達成場面の想定、シーンを実現するための施策抽出の順に進められた。ビジョン・経営→組織→働き方→働く場(ワークプレイス)の順にフレームが決まっていった、と安井氏は振り返る。
「働く場を考えるなら、働き方に合ったものにしようと、過去の調査はほとんどせず、前だけを向いて皆さんと考えました。10年先をイメージするにあたり、今はどうなのか。現状認識をすると、何が良くて、何が良くないのか。ありたい姿が実現したとき、オフィス内でどう過ごしているか。そのシーンを実現するために、オフィスはどうあるべきか施策を出していったのです」(安井氏)
皆で議論するなかで、「時代、市場、環境の変化に対応し、成長し続けられる企業」とのテーマが挙がり、3チームに分かれてそれぞれの言葉を噛み砕いて考えたという。さらにSWOT分析を行い、ありたい姿を200~300個出した後、優先順位をつけてオフィスの設計計画に落とし込んでいった。結果、フラット・コミュニケーション・スピード・効率化を重視したオフィスになることが決まった。
「オフィスのリニューアルは働き方改革のひとつに過ぎません。ヤマト インターナショナルさんは、それ以前に出勤時間選択制を導入したり、育児休業や介護休業、育児などをする社員に対し短時間勤務の期間延長をしたり、看護休暇を有給化したりと、さまざまな人事制度に着手されてきました。10年先のビジョンや人事制度、働く場……あらゆる要素のバランスをとりながら、ステップアップしていかれた点は、オフィス変革のお手伝いがメインの私たちにとっても、とても学びになりました」(安井氏)
上記の人事制度について、ひとつ補足をしておきたい。
「8~10時の間で30分刻みで出社時間を選べる出勤時間選択制は、これまで子どもの送り迎えなどで時短勤務を選ばざるを得なかった社員が待ち望んでいた制度でした。時短で早く帰っていた分を前倒しにし、1時間早く出勤し、フルタイムでの勤務に戻した社員も少なくありません」(IR室 室長 川島祐二氏)