実際、東西のオフィスはどう生まれ変わったのか。大阪本社は創業の地の1つでもあるデリポート(ロジスティックセンター)1階の一部に移転し、2017年8月には、「第30回日経ニューオフィス賞 近畿ニューオフィス奨励賞」を受賞。2017年5月には、東京本社のリニューアルも完了した。詳しくは写真で見ていただきたい。
「部門間の仕切りをなくしたオープンオフィスが特徴です。営業など一部の職種にはフリーアドレス制が導入されています。それに伴い、一人ひとりにパーソナルロッカーを付与。退社時にはパソコンやファイルなど、机の上は何もないすっきりした状態になり、セキュリティ面でも安心です」(星野氏)
社内の情報やニュースを流すデジタルサイネージも設置された。「違う部署のメンバーがどんな仕事をしているかわかりづらい、伝わりづらいことが課題でしたが、今はサイネージがあることで、自然と目に入ってきて、部署間を超えた連携もしやすくなった」とは経営戦略室の米倉氏。
食後やちょっとした時間に話ができたり、部署をまたいで気軽にミーティングができたりするフリースペースも増えた。コミュニケーションが生まれやすい空間、オフィスっぽくないおしゃれさは社員のモチベーションアップにもつながっている。
トレンドワードと化している感のある働き方改革。しかし、組織全体を動かして、プロジェクトとして進めていくのはそう容易いことではない。3~4年という中長期スパンでプロジェクトに取り組んできたヤマト インターナショナルの若手たちは、経営層に真摯な訴えや報告を続け、意欲を失うことがなかった。働き方改革は大きな組織になればなるほど難しいプロジェクトにはなるが、ただ真剣に、できることからコツコツと進めてきた同社の事例はきっと何らかのヒントになるはずだ。