内閣府は、科学技術と社会に関する世論調査結果をまとめて27日、同府関連サイトで公表した。この中で科学技術の発展に伴って不安を感じることとして、サイバーテロや不正アクセスなどのIT犯罪を挙げる人が61%で一番多く、前回2010年調査より約17ポイントも上昇していた。次いで地球環境問題を選んだ人も52%と多く、半分以上の回答者がIT犯罪や地球環境問題に不安を感じている実態が浮かび上がった。

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    写真 11月6日から18日までドイツ・ボンで開かれた「気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)」事務局が会議開催に合わせて関連サイトに公開した気温上昇のイメージ画像(COP23事務局提供)

内閣府は、9月に全国の18歳以上の男女3千人を対象に面接調査し、1,765人が回答した。調査項目は、「科学技術に関する関心」「科学技術に対する意識」「科学技術の貢献を期待する分野」など5つで質問は多岐にわたった。

調査の結果、「科学技術に関する関心」の「科学者や技術者の話への信頼」に関しては「信頼できる」と答えた人は79%(小数点以下四捨五入)で、「信頼できない」の15%を大きく上回った。しかし、その話に関心があるかどうか、についての質問では「聞いてみたいとは思わない」が51%で、「聞いてみたい」の47%より多かった。この回答の都市規模別や性別で見ると、大都市より町村の回答者や女性が「思わない」と答えた割合が高かった。「科学技術に関する情報の入手経路」については、複数選択で「テレビ」を挙げた人が83%と、「新聞」の41%、「インターネット」の37%を大きく上回り、依然テレビの存在が大きいことを示している。

「科学技術に対する意識」の「科学技術の発展で不安を感じること」についての質問で、10の例示から複数選択してもらうと「サイバーテロ、不正アクセスなどのIT犯罪」を挙げた人が61%、次いで「地球温暖化や自然環境破壊などの地球環境問題」が52%。以下「遺伝子組換え食品、原子力発電などの安全性」50%、「クローン人間を生み出すこと、兵器への利用などに関する倫理的な問題」44%の順で多かった。

また、「現在の日本の科学技術は諸外国に比べて進んでいる」かどうかの質問では、「そう思う」人は73%で、前回調査より約7ポイント低下。10年後も諸外国より進んでいると思う人の割合も61%にとどまり、日本の科学技術の将来を楽観していない傾向が見られた。「理科や数学の授業は、科学的センスを育てるのに役立っている」かどうかの質問では、「思わない」が48%で、「思う」の43%を上回った。前回調査では、「思う」(48%)が「思わない」(42%)を上回っていたが今回逆転し、理数の教育現場などにとっては厳しい評価結果が出た。

このほか、「科学技術の発展によるプラス面とマイナス面」の評価に関する質問では「プラス面が多い」が53%と、「マイナス面が多い」7%を大きく上回ったものの、「両方同じくらいである」を選択した人も36%いた。

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