大阪大学とパナソニックは、直径1.8mmでありながら約48万画素相当の画質で血管内における前方視を可能にする「イメージセンサ先端搭載型血管内視鏡カテーテル」の実用化に成功したと発表した。

同成果は、大阪大学の南都伸介 教授(現 西宮市病院事業管理者)と同大国際医工情報センター岡山慶太 特任助教らの研究グループとパナソニックの共同研究によるもの。

血管内治療に用いられる血管内観察用医療機器として、超音波(IVUS)や光干渉断層法(OCT)がある。これらの機器は単色での血管断面の観察を得意とするが、臨床現場においては、リアルタイムに前方の状況を見ながら治療したいというニーズがあった。

今回発表されたカテーテルは、先端にイメージセンサを搭載することにより、フルカラーで血管の前方方向を観察することを可能にした。

  • イメージセンサ先端搭載型血管内視鏡カテーテル

    今回発表されたイメージセンサ先端搭載型血管内視鏡カテーテル

この血管内視鏡カテーテルの実用化には、血管の中に挿入する細い筒状のカテーテルの先端に、さらに小さなイメージセンサを実装する精密加工技術と、これらを制御し高画質画像を構成する技術が必要だった。

研究グループは、2013年より産学医工連携による血管内観察用医療機器の開発に着手し、2014年度からは、産学医工連携プロジェクト「Project OVALIS」を発足させ、同年より経済産業省、2015年度より日本医療研究開発機構(AMED)の医工連携事業化推進事業の支援を受け、基礎実験、動物試験などの実証実験と設計開発のサイクルを積み重ね、約4年をかけて同技術の実用化を達成した。

これにより、血管内の動脈硬化の様子や、血栓、ステント留置後の状態を、高画質のフルカラー画像で把握することが可能になり、通常の血管内治療において病変部の情報を術者に提供できるようになる。また、近年増加傾向にある完全閉塞病変といった治療難度が高い症例において、前方方向にある治療ターゲット部位の情報をリアルタイムで提供できる点で、他の治療法と比べて有用であるという。加えて、新薬の効果や新しいステント、人工血管などの評価にも寄与できると考えられ、血管内治療全体の発展に大きく貢献することが期待されるとのことだ。