生きるためには欠かせない衣・食・住3本柱の一つである食を支える農業。日本においては農業人口の減少や就農者の高齢化など、喫緊の課題であると指摘されて久しい。自然との共生、食料生産とエネルギー変換分野での課題解決をミッションステートメントとして掲げるヤンマーは10日、AIやIoT、ICTを活用した次世代施設園芸システム確立に向けたテストベッド「YANMAR IoT Smart Greenhouse」の運用開始を発表した。

総務省の供用事業採択を受けたテストベッドは、滋賀県米原市内の土地面積201平方メートルにビニールハウス"IoT Smart Greenhouse"を設置。湿度や温度などのセンシング技術やネットワーク、AIやクラウドに強みを持つ各社が参加。ビニールハウスを農的空間と捉え、遠隔制御で収集したデータから収穫時期や収穫量の予測、将来的には農作物の生育状況のクラウドでの一元管理までを視野に入れたプラットフォーム構築を目指す。

テストベッドのシステムイメージ(同社資料より)

テストベッドの構築におけるパートナー企業

専門分野を活かした各社が次世代施設園芸システムの構築に向けて連携するのも特徴で、例えば、低消費電力のSIMなしクイックスタートで構築できるLPWA(Low Power Wide Area)「Sigfox」を提供する京セラコミュニケーションシステム。ウィジェットのドラッグ&ドロップ、ノンプログラミング専用アプリケーションによる手軽な機器接続を特徴とするIoTクラウドプラットフォーム「Toami」提供の日本システムウェア、人感・状態検知・物体検知と多岐にわたるセンサデバイスとソリューションを展開するオプテックス、AIアルゴリズムの技術パートナーとしてApache Sparkをコアアーキテクチャにインメモリコンピューティングによる高速なリアルタイム予測分析基盤「Impulse」を提供するブレインズテクノロジーなど、特徴を活かした連携も期待される。

運用は2020年の9月30日までを予定しており、ICT研究開発に取り組む企業のIoTデバイスやネットワークなどの開発検証に活用される。なお10月の運用時点では、北川グループ、株式会社ベースワン、株式会社シーエスファーム、セカンドファクトリーグループ、ナルトベース、米原市などが利用を開始する予定。ヤンマーは、10月1日にはコニカミノルタと農業リモートセンシングのサービス事業会社ファームアイを設立するなど、先端技術を使った農業課題の解決に力を入れている。