島津製作所は、ヘリウム置換への対応によって液体試料中の軽元素も高感度に分析可能になるなど、汎用性をさらに高めたエネルギー分散型蛍光X線分析装置「EDX-8100」を発売した。価格は1,050万円(ソフトウェア込み、税別、ヘリウム置換ユニットは別売り)。

エネルギー分散型蛍光X線分析装置「EDX-8100」

同製品は、2013年9月に同社が発売したエネルギー分散型蛍光X線分析装置「EDX-8000」の分析能力や操作性、拡張性はそのままに、検出器を改良したことでヘリウム置換に対応したもの。エネルギー分散型蛍光X線装置は、X線の照射によって試料の表面から発生する蛍光X線を検出することで、試料を構成する元素の種類や濃度を分析できる装置で、複雑な前処理無しで迅速に分析を開始できる点などを特長としており、固体や粉体などをはじめとする幅広い形態の試料を非破壊かつ簡便に分析できる。

同製品では、液体試料や含水・含油試料のように真空下に置けない試料の分析にオプションのヘリウム置換ユニットを用いることで、軽元素(F:フッ素~Al:アルミニウム)を含む元素を同社従来製品比最大3倍の感度で分析可能となっている。さらに、同社のエネルギー分散型蛍光X線分析装置としては初めて液体試料中のフッ素を分析できるという。固体や粉体においては、真空測定ユニットを追加することで、C:炭素~U:ウランまでの元素を検出でき、また、「微小部分析キット」との組み合わせにより、直径1mm以下の微小試料の正確な分析にも対応できる。広い検出可能範囲や各種測定雰囲気への対応、試料形態とサイズを選ばない優れた汎用性が同装置の大きな特長という。

分析可能試料の広がりによって公的試験研究機関や大学、受託分析会社で導入しやすくなったほか、化学や素材などの分野においてはシリコンコーティング剤やフッ素系洗浄剤の品質管理などへの貢献が期待できるとしている。