従来のバックアップ/リストア製品とは一線を画した「アベイラビリティソリューション」の提供で新市場を開拓しているVeeam Software。日本法人設立から約1年を経て、国内での知名度も高まってきた。このたび来日した、アジア・日本担当バイス・プレジデントのエフェンディ・イブラヒム氏と、日本法人でシステムズ・エンジニアリング・マネージャーを務める吉田幸春氏に、日本市場の展望を聞いた。

Veeam Software アジア・日本担当バイス・プレジデント エフェンディ・イブラヒム氏

日本法人設立から1年経ちました。振り返ってみていかがですか。

イブラヒム氏:日本市場には、以前よりパートナー経由で展開を始めていましたが、2015年後半から本格的に取り組み始めました。そこで感じたのは、日本は約60%がSaaSなどのクラウドサービスを利用する市場であり、期待が持てるということです。事業のアベイラビリティを確保するうえで、今後、我々のソリューションが大きく役立つと考えています。

そのことを示す興味深いデータがあります。2015年から2016年までに日本でのセールスは80%伸びました。その多くは、継続の顧客ではなく、新規の顧客だったのです。さらにこの期間、パートナーの数は2.5倍に伸び、顧客の数は3倍に増えています。日本のオフィスの人材も2倍になりました。日本には、市場が伸びていく適切なタイミングで参入できたと思っています。

どういった企業に利用されているのですか。

イブラヒム氏:カスタマーベースの特徴は一言では言い表せません。サーバ数台の小規模企業から数百台の大規模企業まで、非常に幅広い企業で利用されています。また、業種も多岐にわたっています。事業におけるアベイラビリティ(可用性)という観点では、企業問わず、ほほすべてのシステムが対象であり、24時間365日必要になるものです。仮想化やクラウドがもっと進展していけば、われわれのソリューションはかならず顧客の環境にメリットをもたらすことになるでしょう。

顧客はどうしてVeeam Softwareを選択するのですか。

イブラヒム氏:多くの顧客は、ITシステムのあり方を変えたいと考えており、「何かあったときにすぐにデータを元に戻す」ことができない従来通りのやり方では、ビジネスが追いつかなくなっています。一方で、クラウドの普及にともない、ビジネスを支える基幹システムや業務アプリケーションなどのクラウド利用が当たり前になってきています。こうしたシステムがおかしくなると、ビジネスまでおかしくなってしまうのです。では、ビジネスの速さについていくためにはどうすればいいか。それには、ダイナミックに動く基盤が必要になってきます。そこで、Veeam Softwareが選ばれるのです。

これまでのシステムではビジネスの速さについていけないのですか。

イブラヒム氏:そうです。必要なときに必要な状態に戻すことがとても重要です。もしデータ復旧に1日かかってしまえば、ビジネスは1日遅れることになります。重要なことは、数分前の状態に数分で戻せることなのです。

5分のRTO(目標復旧時間)、RPO(目標復旧時点)を掲げていらっしゃいますが、2006年にVeeam Softwareがそうしたソリューションを出してから、多くのバックアップベンダーが同じような要件を前面に打ち出し始めたように思います。他社との違いはどこにありますか。

イブラヒム氏:顧客をしっかり見ているかどうかだと考えています。他社がどんな機能を提供していくかはあまり気にしていません。重要なことは、その機能が顧客のどんな課題を解決することができるかなんです。

われわれの製品開発のモットーは、顧客がどんなことを求めているかを知り、それを解決するための機能を提供することです。つまり、一方的に新機能を開発するのではなく、顧客を中心にして機能開発を進めることが大切なのです。

顧客が中心ということですが、どのように顧客からフィードバックを得ているのですか。

イブラヒム氏:顧客のニーズを探る上では、パートナーの力が大きいと思います。販売や開発などの面で、さまざまパートナーとアライアンスを組んでいます。グローバルでもそうですが、日本でも同様です。パートナーや顧客からどんなことに悩んでいるかを聞き、その悩みを解決する機能を全力で作っています。

悩みというのは規模や業種を問わないものです。どの企業も似たような悩みを抱えています。われわれは、企業規模によって価格や機能を変えるといったアプローチをとっていません。すべての企業がいわゆるエンタープライズクラスの機能を低価格で利用できるようにしています。だからこそ、多くの顧客からさまざまなフィードバックを集めることができるのです。