インテルは9日、都内にて人工知能に関する記者説明会を開催。先月、米国で同社が主催した「AI Day」で公開された情報を元にした解説と共に、同社がAIに対してどのように取り組んでいくのかという戦略ベースでの紹介が行われた。

Nervanaの技術を用いた、ニューラルネットワークで高い効果を発揮する最新チップ「Lake Crest」(コードネーム)など、従来のXeonプロセッサを含む同社の資産をAIへの対応に向けて投入していく

インテルのAI戦略

AIが世界にもたらすのは「体験」である――プレゼンテーションを行ったデータセンター・グループ・セールス ディレクターの福原由紀氏は、AIが生み出すメリットのうち最も大切な要素として、ユーザーの「体験」の変革を挙げた。その変革を推し進めるため、同社はAI関連企業の買収、Googleとの連携、学生向けプログラムなど、さまざまな施策を発表してきた。

インテル データセンター・グループ・セールス ディレクターの福原由紀氏

インテル アジアパシフィック・ジャパン担当 HPCディレクター 根岸史季氏

続いて登壇した同社アジアパシフィック・ジャパン担当 HPCディレクター 根岸史季氏は、Googleのアルファ碁のニュースなどで現在注目されている「AI」は、厳密には機械学習(マシンラーニング)のひとつの手法であるディープラーニングであると、昨今のいわば「AIムーブメント」を改めて振り返った。

AIの分類図

マシンラーニング

従来型のマシンラーニング(左)とディープラーニング(右)の手法比較

「Intel Nervana プラットフォーム」

インテルはAIへの対応に際して、大きな傘のような役割を担う「Intel Nervana プラットフォーム」を設けた。買収先のひとつである、ディープラーニングの技術を有する企業「Nervana」が展開していたブランドを引き継ぎ、同社のテクノロジーを活用したチップのリリースも含め、AIへの対応を推し進める。

また、Nervanaが開発をしてきたSoCをベースとしたアクセラレータ「Lake Crest」とXeonを組み合わせることで、高いニューラルネットワーク性能を提供するほか、マシンラーニングによるビッグデータ処理を念頭に置いたSkylake世代のXeonとAlteraのFPGA「Arria 10」を組み合わせることで、ワークロードに最適化したソリューションとして提供する。

Nervanaの技術を用いた、ニューラルネットワークで高い効果を発揮する最新チップ「Lake Crest」(コードネーム)など、従来のXeonプロセッサを含む同社の資産をAIへの対応に向けて投入していく

インテルの第2世代Xeon Phiプロセッサ(開発コード名:Knights Landing)は、メニーコア構成を採用したほか、メモリ性能も強化しているため、従来のXeonに比べ並列度が高いデータ処理にも対応できるのが特徴で、これをベースに、よりディープラーニングに特化した「Knights Mill」の提供も2017年に予定されている。

「Lake Crest」の設計

「Lake Crest」は2017年上期に投入。その進化形として、ブート可能なXeonプロセッサ「Knights Crest」(コードネーム)が控えており、これによって同社は2020年までにマシンラーニングの所要時間を100分の1に短縮することを掲げている。

「Lake Crest」から「Knights Crest」へ

根岸氏は、AI開発の分野において、CPUがマシンラーニングに向いていないとの説があることを挙げ、それはソフトウェアがCPUに最適化されていないことが原因であると指摘。最適化を行えば、AI開発においてCPUがパフォーマンスを発揮することは可能であることを強調し、同社はハードウェアの供給とあわせて、最適化したソリューションやツール/プラットフォームや無償のライブラリを提供していくと語った。

「Intel Nervana プラットフォーム」ポートフォリオ

チップだけでなくAIソリューションもあわせて提供していく