文字が読めない外国の方には必須のピクトグラム(標識や看板に描かれる人型などの簡略図)。私たち日本人も海外に行けば空港に着いた時からピクトグラムにはお世話になるので、その大切さは身を持って実感されている方も多いのではないでしょうか。

日本のピクトグラムは1964年の東京オリンピックの際に生まれたものですが、そのデザインを外国人の皆さんはどう捉えているのでしょうか。そこで日本在住の外国人20名に「日本の街で見る「ピクトグラム」、どう思う?」と質問してみました。

■漢字がわからない外国人にもわかりやすいと思います。(トルコ/30代前半/女性)
■簡単でわかりやすい。(ロシア/20代前半/女性)
■とてもわかりやすいと思います。(タイ/30代後半/女性)
■わかりやすくてよいと思います。(フィリピン/40代前半/女性)
■わかりやすいと思います。(アメリカ/20代後半/男性)
■わかりやすいと思います。(中国/20代後半/女性)
■工夫されていると思う。(チュニジア/40代後半/男性)
■わかりやすいと思います。(ブラジル/20代後半/男性)
■わかりやすいです。(マレーシア/30代前半/男性)
■わかりやすいです。(ベトナム/30代前半/女性)
■わかりやすくていいと思います(スウェーデン/40代後半/女性)
■わかりやすいと思います。(ペルー/30代前半/男性)
■わかりやすく、デザインもよいと思います。(イスラエル/30代後半/女性)

9割以上が高評価となった今回。「ピクトグラム先進国」なだけある嬉しい結果となりました。この理由は、トルコの方の「漢字がわからない外国人にもわかりやすい」という回答に集約されているのではないでしょうか。中国や韓国、ロシアなどの国と同様に、日本語では表記にアルファベットを使いません。単語やつづりは違えど意味が予想できる国とは異なるため、ピクトグラムが手がかりになるのです。

日本でピクトグラムが普及したきっかけは1964年の東京オリンピック。来日外国人が年間15万人ほどだった時代の国際的祭典に対し、言葉の壁を越えるべく、デザイン専門委員会委員長の美術評論家・勝見勝らを中心に若手のグラフィックデザイナーたちがピクトグラムを考え出したそうです。

■わかりやすい。居酒屋のトイレドアなどの絵にはかっこいいものがある。(オーストラリア/40代前半/男性)
■かわいい。(台湾/40代前半/男性)
■マンガ的ですね。(韓国/40代後半/男性)
■とてもにぎやかに見えます。(スペイン/30代後半/男性)
■棒人間みたいだと思う。(イギリス/20代前半/女性)

前述の理由で生まれたピクトグラムですが、競技だけでなくトイレや非常口を始めとする公共施設や設備の表示も作られていました。その後デザイナーたちが著作権を放棄したため、このデザインをお手本として各国で独自の発展を遂げたと言われています。

ひらがなやカタカナが漢字をグラフィカルに派生させたものであること、現在のメールでよく使われる顔文字が日本独特の文化であることを考えると、日本人はこうした感覚を平面に変換する作業が得意な人種なのでしょう。マンガ的、かわいい、という回答が出るのもわかる気がします。

■普通だ。(アルゼンチン/30代前半/男性)
■よくわかりません。(ドイツ/40代前半/女性)

普段あまり気にして見ておられないのかもしれませんね。ちなみに、ドイツのピクトグラムは日本のものに比べて説明的なものが多いようです。

海外で生まれ、日本で発展したと言われるピクトグラム。グラフィックデザイナーからすると、意味のブレが出にくく、普遍的でシンプルなものでなくてはならないため、制作するのがとても難しい分野なのだそうですよ。今もさまざまな建築物や公共施設にピクトグラムが制作されており、各市町村でも少しずつ違いが見られるようです。その違いをチェックしてみるのも面白そうですね。