アジレント・テクノロジーは11月14日、疾患に関係のあるDNA領域のみを詳細に解析できるターゲットエンリッチメント(DNA濃縮)ソリューション「SureSelect XT Focused Exome」を発表した。

同キットのターゲットサイズは16Mbとなっており、3Gbのシーケンス量で、ターゲットの98%を20倍以上のカバレッジでシーケンスすることが可能である。また、少ないシーケンス量でも、高い感度と正確さで変異コール(変異の発生箇所とその種類の特定)が可能になる。さらに、HGMD、OMIM、ClinVarといった公的データベースに登録のある疾患関連領域に特化したデザインとなっている。効率的なデザインとしたことで、デスクトップシーケンサでも、稀な疾患の原因となる変異の特定が可能となる。

そして、エクソーム全体の30%弱の領域に特化したデザインにすることで、スループットの面でも柔軟性を兼ね備え、疾患関連領域のみを効率よく解析する手法が提供される。加えて、カスタムデザイン用ソフトウェア「SureDesign」を用いることで「Focused Exome」をカスタマイズすることも可能。これにより、個々の臨床研究における特定のニーズに特化したデザインにすることもできる。さらに、今回発表の「SureSelect XT Focused Exome」と、既存の「SureSelect QXT Reagent」キットを組み合わせて使用することで、ハイブリダイゼーションにかかる時間を90分程度に短縮することができ、1日でシーケンス用のDNAライブラリの作製が可能となる。この包括的なターゲットエンリッチメントソリューションにより、体質性疾患の研究効率の改善に貢献していくとしている。

なお、アジレントの「SureSelect」製品群のうち、今回発表の「SureSelect XT Focused Exome」は、エクソームシーケンシング製品の最新版となっている。このエクソームシーケンシング製品には、「SureSelect Clinical Research Exome」や「SureSelect QXT Reagent」がある。これらの製品を組み合わせることで、臨床研究において、迅速なハイブリダイゼーションと高い疾患関連領域カバレッジを得ることが可能となる。また、「SureSelect」はさまざまなシーケンスアプリケーションに対応する試薬を提供しており、ゲノム、トランスクリプトーム、メチロームの特定領域を迅速かつ容易に解析することができる。さらに、「SureDesign」の他、再現性高く、高スループットでサンプル処理を行うための自動化ロボット「Bravo」、ターゲットとするゲノム領域を簡単・迅速・的確に解析できるソフトウェア「SureCall」と組み合わせ、トータルソリューションを構築することも可能となっている。