リニアテクノロジーは10月17日、2011年12月に買収をしたDust Networks(ダスト・ネットワークス)のワイヤレスセンサネットワーク(WSN)製品「SmartMesh」の国内での普及と深堀を目指したコンソーシアム「ダスト・コンソーシアム」を設立したと発表した。

SmartMeshテクノロジーは、業界標準規格であるIEEE 802.15.4(IPでは802.15.4/E)に準拠しており、同社では将来にわたってセンサネットワークの導入が想定されるエネルギー、鉄道、道路、建築、土木、運送、医療、農業、酪農、製造などの分野への適用を目指してる。今回のコンソーシアム設立は、同技術を活用してセンサネットワークビジネスを展開していきたいと考えているソフトウェアベンダ、機器ベンダ、インテグレータ、監視サービスプロバイダなどを対象に、情報交換や技術交流を図り、最終的なビジネスへの展開へと発展させることを目的として行われるもの。

リニアテクノロジー代表取締役社長の望月靖志氏

リニアテクノロジー代表取締役社長の望月靖志氏は、SmartMeshの最大の特徴は「切れない」という点と、「低消費電力」という点とし、国内でも産業インフラやエネルギーマネジメントなどの状態監視分野から興味を示してもらっており、設立準備を進めてきたこの1カ月あまりで130社以上の会員企業がすでに存在するという。

同社が掲げる「無線で確実につなぐ技術により、誰でも簡単にしようできることを目指す。多くの技術を組み合わせた複合技術によるシステムを構築するため業界の壁をとりのぞき、新しいビジネスを提供する」という趣旨に賛同した企業が参加できるということで、センサメーカーやハードウェアベンダのほか、ソリューションベンダなどの幅広い企業が同技術に興味を示し、そうした企業から技術をビジネスに活用したいという要望を受けて、同コンソーシアムが設立されたとする。

リニアテクノロジーのダスト・エバンジェリストで同コンソーシアムの事務局長も務める小林純一氏

また、同社ダスト・エバンジェリストで同コンソーシアムの事務局長も務める小林純一氏は、「ダストに注力するのは、日本の抱えているさまざまな問題、設備やインフラの老朽化、人材不足、農業の国際化などの社会問題を解決する上で鍵となる技術であるため」とし、同技術が産業用のワイヤレスセンサネットワークに必要な5個の特性(「接続信頼性」「長期電池駆動」「長期安定性」「セキュリティ」「設置の容易さ=工数の削減」)をすべて兼ね備えている稀有な無線技術であり、その接続性は99.999%+でデータの欠損を抑えることが可能なレベルにあるという。

無線センサネットワークの構築に必要な5つの特性。これをすべて兼ね備えているのがダストの技術だという

ダストの製品群。大きく分けて2種類のみで、ノード構成用デバイスとそれらを管理するマネージャーデバイスに分かれている

ただし、その仕様が36パケット/秒、90バイト/パケット、屋内50m/ホップ、屋外100m/ホップ(最大32ホップ)、約1秒の遅延/ホップ、ネットワーク最適化、というものであるため、「少量データを中距離で転送遅延をあまり気にしないで、かつノードを固定配置して使える分野」には向くものの、動画の送信などの大容量のデータ送信や、リアルタイム性の高いもの、ノードが高速移動するもの、といった分野にはあまり適さないとする。

ダストの適した分野と、適さない分野

なお、同コンソーシアムは今後も賛同企業を募集しつつ半年に一度程度の頻度でカンファレンスなどを開催していく予定のほか、高頻度でメンバー企業同士の交流を深める場の提供などを行っていきたいとしている。

ダストコンソーシアムは参加するSIerやソフトウェア/ハードウェアベンダの交流を促進し、それぞれが不得手な部分を補うことを目指した情報交換の場を提供することとなる