宇宙航空研究開発機構(JAXA)は5月29日、日本ユニフォームセンターが帝国繊維らの協力の下、冷却ベストを開発したと発表した。冷却ベストは「JAXA COSMODE」(JAXA 宇宙ブランド)の製品として販売される。

JAXA オープンラボ公募制度を通じて開発した冷却ベスト

JAXAは、日本が得意とする先端素材・縫製・被服設計・精密加工などの国産技術を集約し、他国を凌ぐ船外活動服の要素技術研究として、「次世代先端宇宙服の研究」を進めている。

宇宙服内は密閉されているため、宇宙飛行士が発する熱を冷却する必要がある。したがって、宇宙服用の冷却下着は身体を効率良く冷却するようにチューブの長さ、本数、冷却部位が設計されるとともに、冷却下着と肌とを密着させる手法を採用し、汗を短時間で吸収、蒸発させて残存汗によるベタツキをなくせるよう快適性を確保した仕様になっている。

今回販売される冷却ベストは、この次世代先端宇宙服用冷却下着の研究成果を活用したもので、JAXAのオープンラボ公募制度において、「宇宙用冷却下着の民生化に向けた検討及び改良の実施」として、日本ユニフォームセンターのビジネス提案が選定され、消防分野へ適した仕様への研究開発からスタートした。

冷却ベストは、チューブを張り巡らせたベスト本体と冷却水を循環させるポンプユニットから構成される。備え付けのタンク内で氷によって冷却された水は、ポンプによってチューブ内を通りベスト全体へ届けられ、ベストに張りめぐらされたチューブに冷却水が循環することで、身体を冷却し、暑熱下における熱中症対策に効果が期待されるもの。

具体的には、4℃前後の冷水が冷却下着全体に回り上半身を快適に冷やします。1リットルの冷却タンクの使用で約30分間持続する。

今年度は限定1,000着の販売の予定で、5月30日より帝国繊維より販売が開始される。

冷却ベストの着用効果