プロジェクトの成否は人が決めるといっても過言ではないだろう。生まれ持った才能や知能もあるが、どんなチームにいるのか、チームのマネジメント次第で一人一人の潜在能力はもっと大きくなる。今回は、成長マインドセットを持つ組織になるためのアドバイスを伝えるOpen Forumの記事「スマートにみせようとする戦略はダメ(原題 : Why Trying to Look Smart Is A Damb Strategy)」を紹介したい。固定観念に縛られて、ブレークスルーがうまれないという人やチームリーダーは必読だ。

記事はスタンフォード大学で心理学の研究を行っているCarol Dweck氏による話をまとめたもの。Dweck氏は著書「Mindset: The New Psychology of Success」で、固定されたマインドセットで取り組むのか、成長マインドセットで取り組むのかで成功やイノベーションに向けた結果が変わってくると説いている。

"失敗を恐れない"とはいえ、失敗するのが怖いというのは多くの人が抱く感情だろう。プロジェクトに失敗はつきものだが、どうやって失敗に寛容な文化をつくるのか。

Dweck氏は、失敗への恐怖がイノベーションにどのようなインパクトを与えているのかを次のように分析している。「恐れる背景には、判断されることへの恐怖がある。イノベーションや創造性に必要なのは、これまでにないものをやり、成功するまでそれを貫くこと」。つまり、心がガチガチに固まっていると難しいことをやってみようという気持ちがなくなるというわけだ。

"うまくいかなかったらどうしよう。デキル人と思われたいのに、周囲はそうは思ってくれないかもしれない"--そう考えているなら、固定マインドに陥ってしまっているといえそうだ。

成長マインドを持っている人は、努力を惜しまないどころか努力や格闘を楽しむ。イノベーションには努力、格闘、試行錯誤が必要だと知っているし、デキル人であることにこだわっていないのだ。

では、失敗を受け入れるカルチャーを持つにはどうしたらいいのか? Dweck氏によると、「従業員は、企業がミスや後退により自分を評価するのか、自分をサポートしてくれるのかを理解している」という。Dweck氏らが行った調査では、成長マインドを持つ企業のスタッフは、リスクをとることを会社が支援してくれると感じているのだという。だが、固定されたマインドを持つ企業は、個々の才能だけを信じており、遅れや変更に対する寛容さや余裕を持っていないとのことだ。

「企業は、組織内の全員の自己開発にコミットしており、全員才能を伸ばすことができると信じているし、成長を支援するつもりだというメッセージを明確に伝えるべきだ」とDweck氏は助言している。